【2026年版】工場の火の用心|火災予防運動(11/9〜15)の前に、持ち場の5か所を見て回る

工場の火の用心 持ち場の5か所を見て回る。作業者が壁の消火器を指差し確認しているアイキャッチ 工場生活

朝晩が冷えて、空気がカラッと乾いてきましたね。この時期になると「火の用心」という言葉が、急に身近に感じられます。

2026年の秋季全国火災予防運動は、11月9日(月)から15日(日)までの7日間です。

結論から言います。燃えるものと火のもとを、近づけない。これが基本です。そのうえで、万一に備えて消火器と避難口も確かめておく。運動の週が来る前に、自分の持ち場の5か所を、自分の目で見ておきませんか?

5か所は、油のしみたウエス、コードとコンセント、火花の出る作業のまわり、消火器、避難口と通路です。防火管理の担当者向けの難しい話ではなく、作業者や班長が歩きながら見られることだけに絞りました。一度に全部でなくて大丈夫。1日1か所でも、今週中にひと回りすれば間に合います!

この記事でわかること

  • 持ち場で見る5か所(油のしみたウエス・コードとコンセント・火花の出る作業のまわり・消火器・避難口と通路)
  • 2026年の火災予防運動の日程と標語、工場に関係する項目
  • 今週中に、この順番でひと回りする手順
持ち場の火のもと5か所:油のしみたウエス・コードとコンセント・火花の出る作業の前・消火器・避難口と通路
▲持ち場で見る5か所。この順番で、歩きながら目で見ます。
燃えるものと火のもとを、近づけない。それを、自分の持ち場の5か所で目で見る。

①油のしみたウエス:ためない・袋に入れっぱなしにしない

最初は、油をふいたあとのウエス(工業用のぞうきん)です。置き場の入れ物や、置かれ方を一度見てみてください。

油のしみた布や紙は、空気中の酸素と反応して、じわじわ熱を出すことがあります。その熱が逃げずにたまると、火をつけていなくても燃え出す「自然発火(しぜんはっか)」につながることがあります。製品事故を調べているNITE(ナイト・製品評価技術基盤機構)が、注意を呼びかけています。

NITEが紹介している事故例は、塗料をふき取ったウエスでした(2016年8月)。ふき取ったウエスを枯れ草と同じビニール袋に入れて7日ほど置いたところ、植物油の酸化の熱がこもって自然発火したと推定されています。

自然発火の起きやすさは、油の種類で違います。NITEは「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)を含む油」が起こしやすいと説明していて、植物油が主成分の塗料や、魚の油の事故例を紹介しています。機械油も、ついたタオルや衣類を洗濯したあとでも乾燥機にかけると自然発火のおそれがあると、NITEや消防本部が注意を呼びかけています。切削油については、はっきりした説明を確認できていません。「うちの油は大丈夫」と決めつけず、分からなければSDS(安全データシート)を確認したり、上司や安全担当に聞いたりしてください。

見るのは、この3つです。

  • ウエスを積み重ねたり、ビニール袋に入れたまま置いたりしていないか
  • 捨て方が、職場の決まりどおりになっているか(NITEは水に十分ひたしてから捨てる方法を紹介していますが、工場の油ウエスは廃棄の決まりが職場ごとにあります。自己判断で水をかけず、決められた容器と処理の仕方に従ってください)
  • 職場に、ウエスの入れ物や捨て方の決まりがあるか

前の職場では、油ウエスは蓋のついた缶に入れる決まりでした。入れ物も捨て方も職場で違うので、自分の職場の決まりを確かめておきましょう!

②コードとコンセント:束ねない・表示を守る・ほこりを拭く

2つめは、足元のコードとコンセントです。見るのは3つ。こちらもNITEの案内(少し前の資料です)がもとになっています。

  • タップの表示:テーブルタップ(差し込み口を増やす道具)に書いてある、使える消費電力の合計を守る
  • コードの巻き・束ね:電源コードを巻いたまま、束ねたまま使っていないか。熱が逃げにくくなり、コードの被覆(ひふく・外側のカバー)が熱を持って発火の原因になる
  • プラグのほこり:プラグのまわりにほこりがたまっていないか。拭くときは、機器を止めてプラグを抜いてから、乾いた布で。自分で抜けない設備は、担当者に確認する

プラグのほこりは、トラッキングの原因になります。プラグとコンセントのすき間にほこりや湿気がたまり、そこに電流が流れて焦げていき、火が出る現象です。

前の職場では、事務所の使っていないコンセントには、蓋(コンセントキャップ)をしていました。現場のほうは、電工ドラム(コードリール)は巻いたまま使わず、完全に引き出してから使うのがルールでした。巻いたままだと、コードの熱が逃げないんですよね。

使わない機器のプラグは、抜いておくと安心です。

③火花の出る作業のまわり:粉じんと油を、先にどける

3つめは、溶接や溶断(ようだん・金属を熱で切ること)、グラインダー(砥石を回して削る工具)など、火花の出る作業のまわりです。飛び散った火花が、少し離れた所の燃えやすい物に火をつけることもあります。

ここは法令でも決まっています。労働安全衛生規則(安衛則)は、会社に対して、たとえば次のことを求めています。

  • 引火性の油や可燃性の粉じんが残っているおそれのある配管・タンク・ドラム缶などは、先に爆発や火災を防ぐ措置をとってからでないと、溶接・溶断や火花の出る作業をさせてはいけない(285条)
  • 可燃性の粉じんなどがあって爆発や火災のおそれがある場所では、火花やアークを出す機械や、火気を使ってはいけない(279条)
  • 引火性の蒸気や可燃性の粉じんで爆発や火災のおそれがある場所では、通風・換気・除じん(粉じんを取り除くこと)などの措置をとる(261条)

難しく聞こえますが、持ち場での見方はシンプルです。火花が飛ぶ範囲の床や棚、機械のまわりに、粉じんや油、紙や布がたまっていないか。まず作業を始める前に、ぐるっと見る。気になる物があれば作業を始めず、班長や作業責任者に確認する。防火の措置や作業の許可は、職場の決まりどおりに!

前の職場では、溶接ブースの外で溶接をするときや、そのほか火を使う作業の前には「作火許可証(さっかきょかしょう)」を出す決まりがありました。まわりの可燃物や油は決められた距離の外へ出し、不燃性か難燃性の衝立(ついたて)で火花を囲ってから始めます。こうした決まりは法令で一律に決まっているものではなく職場ごとなので、自分の職場のやり方を確かめておきましょう。

④消火器:場所・前の通路・使い方

消火器の使い方3手順:安全栓(ピン)を引き抜く・ホースをはずし火元に向ける・レバーを強くにぎる
▲消火器の3手順(消防庁の案内をもとに作図)。ピン・ホース・レバーの順です。

4つめは消火器です。見るのは、場所、前の通路、使い方の3つ。

消火器は「通行や避難のじゃまにならず、すぐ持ち出せる場所」に置くことが、消防法令で決まっています(消防法施行令10条)。一般の消火器は、どこからでも歩いて20m以下で1本に届くように置く決まりです(消防法施行規則6条。大型消火器などは別の基準)。本数や種類は、建物の広さや扱っている物で変わります。

だからこそ、消火器の前に物を置かないことが大事です。「ちょっとだけ」のつもりの一時置きでも、いざというとき消火器を取り出せなくなります。

1日1回でも、消火器の場所を目で見て、指で差してみてください。指差し呼称の「消火器、ヨシ!」です。

点検にも少しだけ触れておきます。消火器は半年ごとの機器点検が決まっています(消防庁の告示)。消防への報告は、工場だけの建物なら3年に1回。飲食店のように、不特定多数の人が使う用途が同じ建物に入っていると、1年に1回になります(消防法施行規則)。

法令で決まった点検はあります。でも、点検の日以外に「あれ?」と気づけるのは、毎日そこにいる私たちだけです。

使い方は、消防庁の案内では次の3手順です。

  1. 安全栓(あんぜんせん)を引き抜く
  2. ホースをはずし、火元に向ける
  3. レバーを強くにぎる

消防庁の言葉は「安全栓」ですが、覚えやすいように図では「ピン・ホース・レバー」としました。消防庁によると、一般的には炎が天井付近に届くまでが、消火器で消せる目安です。機種で細かい手順が違うので、ご職場の消火器は本体のラベルを一度読んでおいてください。

火を見つけたら、まず大声で周りに知らせ、消防へ通報します(火事を見つけた人の通報は、消防法24条で決まっています)。避難の手順は、職場で決められたとおりに動きます。初期消火は、安全が確保できるときだけ。危険を感じたら無理をせず避難してください。消火器を使う判断や役割分担も、ふだんから職場のルールで確かめておきましょう!

⑤避難口と通路:物を置かない

5つめは、避難口と通路です。消防法(8条の2の4)は、工場も含めて、廊下・階段・避難口などの避難に必要な場所に、避難のじゃまになる物を置かないよう管理することを求めています。防火戸の前も同じで、閉まるのをじゃまする物は置けません。

この決まりを守る責任は、建物を管理する側にあります。でも、毎日そこにパレットや台車を置くのは、現場の私たちなんですよね。

安衛則(549条)にも決まりがあります。ふだん使わない避難用の出入口や通路には「避難用」と表示して、いつでも使える状態にしておくことです。

見るのは、避難口の前、通路、防火戸の前。一時置きのつもりの荷物が、いつの間にか置きっぱなしになっていませんか?

今年の運動のこと、短く

運動の中身も、短くまとめておきます。

  • 期間:2026年は11月9日(月)から15日(日)の7日間(消防庁の通知で確認しました。例年この時期です)
  • 標語:2026年度の全国統一防火標語は『火の確認 いい日を支える いい習慣』
  • 重点推進項目:住宅防火対策・地震火災対策・林野火災予防対策の3つ。工場に関係が深いのは「防火対象物等における防火安全対策の徹底」「乾燥時及び強風時の火災発生に対する警戒の強化」などの推進項目のほうです
  • 119番の日:11月9日は、消防庁が1987年(昭和62年)に定めた「119番の日」。2026年は運動の初日と重なります

数字もひとつだけ。消防庁の統計(令和7年版消防白書・令和6年中)では、建物火災2万972件のうち、工場・作業場が火元だったものは1,866件、約9%でした。工場だけの原因の内訳は白書に載っていないので、ここでは全体の数字を見ます。

全国の火災全体では、出火原因の上位はたばこ、たき火、こんろで、そのあとに電気機器、放火が続きます。工場だけの話ではありませんが、コードやコンセントを見ておく意味は十分にあると思います。

今週中に、この順番でひと回り

  1. ウエスの入れ物の中を見る:積み重ねていないか。袋に入れたままにしていないか。捨て方の決まりも確かめる。
  2. 足元のコードとタップを見る:束ねたまま、巻いたままになっていないか。表示の合計を超えていないか。プラグにほこりがたまっていないか。
  3. 火花の出る作業のまわりを見る:粉じんや油、紙や布がたまっていないか。
  4. 消火器の場所と前の通路を見る:指差しして、前に物がないか確かめる。ラベルで使い方を読む。
  5. 避難口と通路を見る:前に荷物を置いていないか。防火戸の前もあわせて見る。

気になる所が見つかったら、職場の決まりに沿って直しましょう。自分で安全に直せないものや、扱い方が分からないものは、無理に動かさず、班長や上司、安全担当に一声かけてください。

今回の5か所は、職場巡視される側の5分見直しとも重なります。秋の安全全般は9月・10月の工場の安全にまとめました。

運動の週が来る前に、まず1か所だけでも。その一歩が、いちばん効く火の用心です!

燃えるものと火のもとを、近づけない。持ち場の5か所を、自分の目で確かめましょう!

→ あわせてどうぞ!

 

参考にした資料

法令の内容は2026年10月に確認したものです。改正されることもあるので、最新の内容は出典でご確認ください。

以上、ご安全に!!

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