世間一般にはきっとあまり知られていないのに、製造業では一度は聞いたことがある方も多い言葉……それが「5S3定」だと思います!
この記事はもともと2020年に、「SQDC」の記事でも登場した大先輩Oさんに教えて頂いた内容をまとめたものでした。おかげさまで、今ではこのブログで特によく読まれている記事のひとつになっています!
実はあれから私は転職をしまして、今は前とは別の職場で働いています。そこで気付いたことがあります。
職場が変わっても、5S3定はどちらの職場にもあった!ということです笑 ただ、言葉だけが有名で、「そもそもなんでやるのか?」まで深く考えたことがない方も多いと思います!
そこで今回は2026年版として、用語の解説はそのままに、現場でよくある具体例と安全とのつながりを足してまとめ直しました!
5S3定とは
5S3定とは、職場を整えて保つための基本「5S」と、5Sの中の「整頓」を具体的に決めるための考え方「3定」を、あわせて呼ぶ言葉です!
5Sは
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- 躾
3定は
- 定位置
- 定量
- 定品
を略した言葉になります!
5Sの「S」は、5つの言葉をローマ字で書いたときの頭文字です。整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seiso)・清潔(Seiketsu)・躾(Shitsuke)、すべてSから始まります!
3定は、5Sの「整頓」を具体的に決めるための考え方として、現場でよく使われています。「どこに(定位置)・いくつ(定量)・何を(定品)」置くかを決めるイメージです!
3定については、順番や言い方が違うこともあります。項目の数や中身が違う会社もあります(「5定」など)。ここでは、よく使われる3つで説明しますね!
ちなみに5Sは、日本の製造業の現場で、安全活動としての3S(整理・整頓・清掃)や4S(3Sに清潔を足したもの)から広まり、そこに「躾」を足して5Sと呼ぶようになったと言われています(起源には諸説あるみたいなので、断定はしないでおきます笑)。今では工場だけでなく、オフィスや病院などでも使われているそうです!
そもそもなんで5Sをやるの?
1つずつ解説する前に、今回どうしても足したかった話をさせてください!
5Sって「職場をキレイにすること」が目的だと思われがちですが、私は「安全・品質・効率など、いい仕事をするための土台」だと思っています。
5Sの目的にはいろいろな考え方がありますが、私が「いい仕事をするための土台」だと思う理由は、次の3つです。
- 減らす…ケガの原因や、物の取り間違いによる不良、物を探す時間を減らせる
- 気付く…キレイにしておくと、異常にすぐ気付ける
- 続ける…毎日続けることで、物の置き方や汚れ、通路まわりのヒヤリハットや不良の芽を摘み続けられる
どれも大切ですが、その中でも現場で働く身としては、まずは「自分と仲間がケガをしないため」が一番大事だと思っています!
2つ目は「清掃」、3つ目は「清潔」「躾」の解説で、あらためて書きます!まずは、ケガにつながる身近な例からです。
- 床に物が置きっぱなし → つまずいて転倒
- 通路に台車がはみ出している → ぶつかってケガ
- 棚の上に重い物が雑に置いてある → 落ちてきて直撃

どれも、整理整頓ができていれば防げた可能性が高いケガです。(厚生労働省も、滑りやつまずきによる転倒災害を防ぐには4S(整理・整頓・清掃・清潔)が「基本的かつ最も重要な対策」としています。ただ、段差や凍結、急いで歩くことなど、整理整頓だけでは防げない原因もあるので、「土台」と考えるのがちょうどいいと思います!)(出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「4S活動、KY活動」)
実は、働く人のケガ(休業4日以上の労働災害)を全部の業種で合わせて見ると、一番多いのは「転倒」なんです。厚生労働省の統計では、2025年(令和7年)は転倒だけで約3万7千人と、ケガ全体の約4分の1(約27%)を占めています。(出典:厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」)
(製造業だけで見ると、2025年は「はさまれ・巻き込まれ」が一番で、転倒は2番目ですが、それでも年に約5,700人です。機械まわりの安全も、もちろん大切です!) 工場の転倒については、転倒・つまずき対策の記事でくわしくまとめています!
整理整頓は地味に見えて、一番身近な労災対策なんです!(ちなみに、日常の清掃や、通路に物を置かず安全に保つことは、労働安全衛生規則でも事業者に求められています)
そして、「1件の重い災害の裏には、29件の軽いケガと300件のヒヤリハット(ケガにならなかった危ない出来事)が隠れている」というハインリッヒの法則という有名な法則があります。(数字そのものは目安で、業種によっても変わるとされています。) 5S3定は、そんなヒヤリハットの芽の中でも、物の置き方や汚れ、通路まわりの芽を毎日コツコツ摘み取る活動でもあるんです!
ハインリッヒの法則については別の記事でまとめていますので、ぜひあわせて読んでみてください!
→ 【ハインリッヒの法則】労働災害に関する法則です!(他業界でも活用できます)
実は転職して気付いたことがあります。今の職場は建屋が新しいので、パッと見は今の方がずっときれいなんです。でも5Sの「意識」は、前の職場の方が圧倒的に高くて、厳しくもありました。まさにみんなで作り上げた文化という感じで、私はあの空気が好きでした(ちょっとやりすぎかな?と思う場面もありましたが笑)。
建物の新しさと5Sのレベルは別物。これが2つの会社で、いくつかの現場を見てきた正直な感想です!
今の職場はまだ新しい工場ですが、工具や設備の部品が雑多に置かれていたので、整理整頓をしました。また、油漏れがあっても気付けないくらい汚れていたので、機械を止めて、油圧系統(油の力で機械を動かす部分)のまわりを清掃しました。キレイにしたら、油圧ホースからの少しの油漏れを見つけることができました!
後輩には、あとで紹介する工具の形どりのような改善は、まだ教えていません。でも「測定具は必ず決めた場所に戻す」「あまり使わない工具は、ほかの担当者に聞いて、使っていなければ処分する」といったことは、一緒にやりました。

こうした整理整頓や清掃で、ケガの原因を減らし、異常に早く気付けるようにしておくことも、私が「まずは自分と仲間がケガをしないため」と考える理由のひとつです。
では、ここから1つずつ解説していこうと思います!
5Sを1つずつ解説します!

整理(せいり)
要・不要なものを区別して、不要なものを捨てる(処分する)こと
整理って普段から使っている言葉ですが、いざ「どういう意味?」と聞かれるとちょっと詰まってしまいませんか?!
私もOさんに「5S3定の意味を詳しく言ってみろ!」と言われたときに、整理の後には整頓も待ち構えているので、正直意味が分からなくなり焦りました笑
前の職場では、何十年前かに1度使ったきりの道工具がたくさん眠っていました。「いつか使うかも」が積み重なると、置き場はどんどん狭くなっていくんですよね…。
そこで取り入れている職場が多いのが「赤札作戦」です!「これ要る?」と思った物に赤い札を貼って見える化し、期限までに誰も使わなければ処分を検討する、という方法です。捨てる判断を個人の度胸ではなく職場のルールでできるのが良いところだと思います!
ただ、図面・検査具・治具・予備品のように、使っていなくても勝手に処分してはいけない物もあります。処分は、職場のルールに沿って進めましょう。(私も後輩と一緒にやったときは、あまり使わない工具は、ほかの担当者に聞いてから処分しました。)
5S活動で1番大事で、1番難しい項目かもしれません。
整頓(せいとん)
整理で必要になった物を、必要な時に取り出せるようにしておくこと
必要な物だけになった状態で、使用頻度や重要度を決めて並べ替え、いつでも取り出せるようにすることです!
取り入れている職場が多い工夫を、2つ紹介します!
- 工具の形どり管理…ツールパネルに工具の形(影)を描いておく方法です。戻す場所が一目で分かるうえに、「戻っていない工具」もすぐ気付けます!
- 床の区画線…通路と置き場を白や黄色の線で区切る方法です。「線の内側にしか置かない」が守られると、通路に物がはみ出さなくなって、つまずきや台車との接触の防止にもなります!
ゴールは「新人さんでも、どこに何があるか一発で分かる」状態だと思います!
清掃(せいそう)
キレイにすること
すいません、語彙力がなくてこれ以上思いつきません!(ここは2020年から変わってません笑) ただ、目的ははっきりしていて、異常にすぐ気付けるようにしておくということです!
例えば普段から油でギトギトの機械は、油漏れしていても気付けないですし、どこから漏れているのか特定するのも難しいです。普段からキレイなら「あれ、昨日までこんな所に油なかったぞ?」とすぐ気付けます!
現場では「清掃は点検なり」と言われることもあって、毎日の掃除が、設備の異常に気付くチャンスになっているんですね!(機械の掃除や点検、調整は、必ず機械を止めてから行いましょう。止めたら、錠と札を付けて、ほかの人が動かせないようにしておきましょう。)
清潔(せいけつ)
キレイな状態を保つこと
もうちょっと詳しく言うと、整理・整頓・清掃された状態を保つことです!
一般的には除菌されているとか衛生的なイメージの言葉ですが、5Sの世界では「3S(整理・整頓・清掃)が崩れていない状態」という意味で使われることが多いと思います!ただ、職場によっては、服装や身だしなみをきれいにすることまで含めて「清潔」と呼ぶところもあります。
そして「保つ」は気合いだけでは続きません…。清掃の当番表やチェックリストのように、仕組みにしてしまうのが長続きのコツだと思います!
躾(しつけ)
4S(整理・整頓・清掃・清潔)状態を自分たちでルールを決めて、守ること
(私が初めて躾と聞いたときは、え?「せい〇〇」じゃないの?とか思ってました笑)
結局、最後はそこにいる「人」にかかっています!ここでいう躾は、叱って従わせることではなく、決めたことを習慣にすることだと思います!
多くの職場で行われているのは5Sパトロールです!定期的に職場をまわってチェックして、良いところ・直したいところを共有する活動です。「アラ探し」になるとギスギスするので、「他の職場のいいところを盗む」くらいの気持ちでやると続きやすい気がします!
巡視で回る側の心得は、職場巡視は「アラ探し」じゃないの記事にまとめました!巡視を受ける側の見直しリストは、職場巡視は「指摘されないため」じゃないの記事にまとめています!
理想を求めすぎて無理に守れないルールを決めると、すぐに誰も守らなくなるので気を付けましょう!
前の職場では、測定具や道工具は「そこにしか置けない」ようになっていて、使用中のものはひと目で分かるように明示されていました。誰が見ても「ある・ない・使用中」が分かる状態です。当時は当たり前だと思っていましたが、離れてみて「あれはすごい文化だったんだな」と実感しています!
3定を1つずつ解説します!

定位置(ていいち)
物を置く位置を決めること
そのままですね!
ただ、「製品置き場」みたいにざっくり決めて定位置としている職場、結構多いと思います。
棚に「A-1」「A-2」と番地を付けたり、床の区画線で「ここは部品箱2つ分」と決めたり、具体的に何をどこに置くのかまで、みんなで話し合ってしっかりルールにしたほうが継続しやすいと思います!
定量(ていりょう)
適正な量を置くこと
本当に必要な量を過不足なく置いておくことです!
取り入れる職場も多い工夫が、置き場に「最大〇個・最小〇個」の表示をしておく方法です!「この線まで減ったら補充」と見えるようにしておけば、誰でも同じ判断ができます!
仕事の量や、製品の改良、使っている道工具の改善などで必要な物は少しずつ変化していきます。職場のみんなで定期的に話し合って適正な量を決めて、徐々に最適化していくのが良いと思います!
定品(ていひん)
決められた物を置くこと
定位置を決めても、置いてあるものが違っていたら話になりません!
場所があいてるからと言って適当に物を置いてしまうと、探す手間が増えたり、よく似た物を取り間違えてしまうなどのリスクも増えてしまいます。
表示と現物がズレてきたら黄色信号です。表示を写真付きにしておくと、文字だけより間違いを減らしやすくなるのでおすすめです!
5Sあるあるなのですが、「ずっと使っていないから」と思い切って捨てた途端に必要になったこと、私は何度もあります笑。かと言って「いつか使う」で取っておくと、どんどん溜まっていく…。整理の永遠のジレンマですね。
前の職場では最終的に「必要になったら、また買いましょう・作りましょう」という考え方に変わっていきました。この割り切りも5Sのうちだと私は思います!(高価な物や代わりのない物は、職場のルールで決めましょう。)
動画でおさらい(朝礼・安全教育の共有用)
この記事の内容を、約4分半の動画にまとめました(字幕つき)。
動画の声:VOICEVOX:九州そら / VOICEVOX:玄野武宏 映像:Pexels BGM:Connectedness / Anonyment(OpenTracks)
まとめ
今回は5S3定について、2026年版としてまとめ直してみました!

そして5S3定は、職場の見た目をキレイにするためだけの活動ではなく、安全・品質・効率など、いい仕事をするための土台。その中でも、まずは転倒やつまずきなどのケガから自分と仲間を守ることが、一番大事だと私は思っています!
なぜ「安全」が一番最初なのかは、SQDCの記事にまとめています!
活動に夢中になってしまうと、本来の目的からズレてしまうこともあると思います。そんな時は「この5Sは誰のどんなケガを防ぐんだっけ?」と一度立ち返ってみると、活動の優先順位も見えてくるかと思います!
5Sは、一度キレイにして終わりではなく、続けることが大事だと思います!まずは、使った物を元の場所に戻すことから、始めてみてください!
他の職場ではどういう5S3定をやっているのか、私もとても気になりますので教えて頂けると嬉しいです!
安全つながりで、こちらの記事もあわせてどうぞ!
以上!ご安全に!!






コメント