「今月の安全目標、何にしよう」――月末になると、この一文で手が止まる方は多いのではないでしょうか。この記事では、10月にそのまま使える目標の例文を15本、テーマ別にまとめました。あわせて、効く目標と形だけの目標の見分け方もご紹介します。10月1日から7日は全国労働衛生週間の本週間です(準備期間は9月)。週間そのものの中身は入口記事にまとめてあるので、今回は「目標をどう書くか」に絞ります。
この記事でわかること
- 10月にそのまま使える安全衛生目標の例文15本(テーマ別・行動形)
- 「月の目標」と「今日の行動目標」の違い
- 効く目標と、形だけの目標の見分け方
10月の安全衛生目標、例文15選
会社や班で決める「月の目標」用と、KYボードに書く「今日の行動目標」用を混ぜてあります。そのまま使っていただいても、職場の言葉に置き換えていただいても構いません。各例文の末尾に(班用)(自分用)の目安を付けました。この(班用)(自分用)は「誰が使うか」の目安で、「月の目標」「今日の行動目標」とは別の分け方です。月の目標を、その日のKYに落とし込んで使うこともできます。各テーマに「なぜ10月か」を添えていますが、どれも10月だけの話ではなく、一年を通して大事なことです。10月は、あらためて目を向けるきっかけとして書いています。
①通路・足元(転倒・つまずき)
なぜ10月か:全国労働衛生週間の重点事項に、転倒・腰痛災害の予防が入っています。
- 通路の白線内に部材や工具を置かない状態を、終業前の3分点検で確認する。(班用)
- 通路の角を曲がる前に一度止まり、進む先の安全を指差し確認してから進む。(自分用)
- 月1回、通路と階段の照明切れをチェックリストで確認し、切れていたら即日申請する。(班用)
②重量物・腰痛
なぜ10月か:同じ重点事項の中に、腰痛予防対策も含まれています。
- 職場で決めた重さ(たとえば20kg)を超えると分かっている荷は、一人で持たず、職場のルールに沿って2人作業や台車などで運ぶ。(自分用)
- 重量物の置き場の「ひとりで持たない」表示が外れていないか、月1回の巡視で確認する。(班用)
③化学物質・保護具
なぜ10月か:全国労働衛生週間の重点事項に、化学物質による労働災害の防止(自律的管理・SDSなど)が入っています。
- 薬品を使う作業の前に、作業手順とSDS(安全データシート)の「8.ばく露防止及び保護措置」を確認し、職場で指定された保護具を着けてから着手する。(自分用)
- 保護具の着用を巡視のたびに確認し、未着用があればその場で声をかけて直す。(班用)
- 保護具のひびや汚れを、使う前に自分の目で1回確認してから使う。(自分用)
④メンタルヘルス・ストレスチェック
なぜ10月か:全国労働衛生週間の重点事項に、メンタルヘルス対策が入っています。
- 朝礼で、体調や気分に変化があるときは無理をせず、上司や相談窓口に伝えられることを一言案内する。(班用)
- 残業続きなどで、自分の体調がいつもと違うと感じたら、上司などに相談する。(自分用)
⑤健診の事後(要再検査を放置しない)
なぜ10月か:9月の「健康診断実施強化月間」に続き、健診結果の通知や再検査の案内が届き始める職場も多い時期です。
- 健診で再検査の通知が来たら、2週間以内に受診の予定を入れる。(自分用・個人の健康情報なのでKYボードには書かず、手帳やスマホのメモに)
- 健診後の再検査や健康相談の案内を、月1回、朝礼や掲示板で周知する。(班用)
⑥季節(日没が早まる・朝晩の冷え込み)
なぜ10月か:薄暮(はくぼ、日没前後の薄暗い時間帯)の死亡事故は、10月から12月にかけて増える傾向があります(内閣府調査)。
- 日没後の構内移動や通勤では、反射材か明るい色のものを1つ身につける。(自分用)
- 夕方の出退勤時間帯は、駐車場・駐輪場の照明の点灯を今月から早める。(班用)
- 朝晩の冷え込みで体が硬いと感じたら、作業前に肩と腰を10回ずつ回してから始める。(自分用)
月の目標と、今日の行動目標

私が前にいた職場では、月の目標が掲示板に貼られていました。決めていたのは会社や安全衛生委員会です。それとは別に、KYボード(危険予知活動で使うボード)に、その日の作業に合わせて作業者が「本日の行動目標」を書き、すべてのボードに職長がコメントを書いていました。チームで作業する組立の職場では、みんなでその日の作業のKYをやっていました。月の目標が向かう方向を示し、KYボードの行動目標がその日の具体を担う――この二層で回っていました(私が前にいた職場での話です。今の職場を含め、形は会社によってさまざまだと思います)。KYボードの行動目標の作り方は、KYの基本の記事で詳しく紹介しています。
効く目標と、形だけの目標

正直なところ、目標には差がありました。効いたと感じる目標もあれば、形だけになってしまった目標もありました。差の理由まではここでは踏み込みませんが、判断の目安になりそうな考え方があります。国のOSHMS指針(労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針)は、安全衛生目標について、到達点をはっきりさせること、過去の目標の達成状況などを踏まえること、関係する人に周知することを求めています。これを、目標を決めるときの確認ポイントとして私なりに整理すると、次の3つになります。
「頑張る」「気をつける」で終わる目標は、この中の「到達点が具体的か」でつまずきやすい型です。今回の例文を、できるだけ「何をするか」が確認できる形にしているのは、このためです。
ここまでの3つは、OSHMS指針をもとに私なりに整理した確認ポイントです。これとは別に、部署や班で月の目標を決める立場の方には、テーマを選ぶときに心がけてもらえたらと思うことが3つあります。季節ごとの注意項目を入れること。年の目標との一貫性があること。そして、現実の作業と合っていること。この3つがそろっていると、掲げた目標が現場で生きてきます。
前提と例外
ここで一つ、整理しておきたいことがあります。毎月の安全衛生目標そのものを、法律が直接義務づけているわけではありません。根拠になっているOSHMS指針は、事業者が自主的に安全衛生活動を進めるための仕組みを示した、国の指針です。また、衛生委員会などを設けている事業場では、安全衛生に関する計画の作成・実施・評価・改善などについて、法律で決まった調査審議があります。目標を掲示しただけで、その代わりになるものではありません。目標を掲げることで効果が何パーセント上がる、といった数字は、今回の調査では確認できませんでした。実際の運用は、職場のルールと安全衛生の担当者の判断を優先してください。
まとめ
10月の安全衛生目標の例文を15本、テーマ別にご紹介しました。10月に絞って書きましたが、中身はどれも、いつの月でも大事なことです。ポイントは3つです。行動が確認できる目標にすること。月の目標と今日の行動目標を混同しないこと。そして、掲示すればそれで終わりではなく、目に見える形で共有し続けること。この15本を貼るだけで衛生週間の取り組みが完了するわけではありません。準備期間や本週間で何をするかは、入口記事や取り組み例のほうにまとめてあります。ことば選びで悩んだときは、安全標語をAIと一緒にひねった話もあります(標語はことば、目標は行動の約束、という住み分けです)。
以上、ご安全に!!
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