こんにちは、もこです。
後輩に仕事を教えるとき、「教える中身」って結局、自分の頭の中にしかないんですよね。私も後輩指導を任されるたびに、そのことを痛感します。今日はこう言ったけど、この前は言い忘れてたな……なんてこと、正直よくあります。
先日も、ひとしきり手順を教え終わった後輩から「あの確認、最初に聞いてなかったです……」と言われて、内心ヒヤッとしたことがありました。教えたつもりで、教え漏れていた。これ、教える側が悪いというより、「教える中身が、その人の頭の中にしかない」という仕組みの問題だと思うんです。
そこで、相棒のAI(ChatGPTやClaude)に相談しながら、教える手順を「抜け漏れのないチェックリスト」のたたき台にしてもらうことにしました。今日はその流れと、そのままコピペで使えるプロンプトを全部公開します。
教える中身が「属人化」する3つの理由
なぜ、OJT(現場で実際の作業をしながら教える教育)の中身は、属人化(=特定の人にしかできない状態になること)しやすく、教える人によってバラバラになりがちなのか。私なりに整理すると、理由は3つあります。
- 教える中身が経験と勘に頼っている …先輩が長年の経験でつかんだ「ここが危ない」「ここでよく失敗する」は、言葉にして書き出したことがない場合がほとんど。頭の中にはあっても、紙にはなっていません。
- 自分の作業の合間に教えることになる …教える側にも自分の仕事があるので、まとまった時間で体系立てて教えるより、作業の合間合間に断片的に伝えることが多くなります。結果、教える順番も中身も、そのときの状況しだいになりがちです。
- 「常識」の基準が人によって違う …教える側にとっては当たり前でも、教わる側にとっては初めて聞くこと。ここがズレたまま「これは常識だから」と省略してしまうと、教え漏れが生まれます。
同じ内容を教えているつもりでも、教える先輩がだれか、そして教わる人の経験や「当たり前」の基準しだいで、何がどこまで伝わるかは大きく変わってしまいます。
これ、教える側が手を抜いているわけじゃないんですよね。仕組みとして、教える中身が「その人任せ」になりやすいだけ。だったら、その中身を書き出して仕組み化する部分だけ、AIに手伝ってもらえばいい。そう思ったのがきっかけです。
AIに、教える中身を話しながら書き出してもらう
やり方はシンプルです。まず、私が現場目線で「この作業で必ず教えていること」「教えるときにいつも気にしていること」を、思いつくままAIに話しました。
私が最初に投げたのは、ざっくりこんな感じでした。
後輩に、機械の日常点検の作業を教えることになりました。私が普段教えている内容を書き出すので、抜け漏れがないかチェックしてほしいです。あと、表の形にしてOJTチェックリストとして使えるようにまとめてもらえますか。
・まず点検前に必ず主電源を止めて確認すること
・オイルの量と汚れを見ること
・カバー類が緩んでいないか見ること
・異音や異臭がないか確認すること
・最後に点検した内容を記録すること
これを渡すと、AIが「手順ごとの確認ポイント」「教えるときに添えるとよい一言」「よくあるつまずき」まで、表の形でパッと整理してくれました。私が箇条書きで投げたものを、教える順番に並べ直して、抜けていそうな視点まで一緒に提案してくれる。ここが本当に助かるところです。
私が現場で実際に気をつけていること(=経験と勘の部分)を出すのは自分の仕事。それを漏れなく形にする部分は、AIに手伝ってもらいます。この役割分担が、いちばんしっくりきました。
出てきたOJTチェックリストの例(架空の設定)
※ここから先は、特定の職場・設備の話ではなく、どこの現場にもありそうな一般的な作業(汎用の工作機械の日常点検)を架空の設定として書いています。
こんな形で、手順ごとに整理してくれました。
| 手順 | 確認ポイント | 教えるときの一言 | よくあるつまずき |
|---|---|---|---|
| ①点検前に主電源を止める | 止めた後、実際にスイッチが入らないか一度押して確かめる | 「止めた『つもり』じゃなく、押して確かめるまでがセットだよ」 | 止めた気になって確認を省略しがち |
| ②オイルの量・汚れを見る | 規定の範囲内にあるか、色や汚れ具合はどうか | 「色が変わってたら、量が足りてても報告してね」 | 量だけ見て、汚れの確認を忘れる |
| ③カバー類の緩みを見る | 手で軽く押して、ガタつきがないか | 「目で見るだけじゃなく、触って確かめてね」 | 目視だけで済ませてしまう |
| ④異音・異臭の確認 | いつもと違う音・においがないか、電源を入れる前後で意識する | 「『いつもと違う』が分かるようになるまでは、毎回声に出してみて」 | 基準になる“いつも”をまだ知らないので気づけない |
| ⑤点検内容の記録 | 異常の有無にかかわらず、点検した事実を記録に残す | 「異常なし、も立派な記録。書かないと『やった証拠』が残らないよ」 | 異常がないと記録自体を省略してしまう |
私が箇条書きで出したのは5項目でしたが、「④基準になる『いつも』をまだ知らない新人は、そもそも異音に気づけない」という視点は、AIとやり取りする中で足りていないと気づいた部分でした。自分では当たり前すぎて書き出していなかった前提を、こうして拾ってもらえるのがありがたいところです。
自分の現場用に:コピペ用プロンプト
ここからは、自分の現場の作業を教えるときに、そのまま使えるコピペ用プロンプトを置いておきます。空欄に今教えている(またはこれから教える)作業を入れて貼り付けるだけで、手順・確認ポイント・教えるときの一言・よくあるつまずきまで、ひととおり表にしてくれます。
使う前に必ず確認してほしいこと。会社で外部のAI(ChatGPT・Claudeなど)を使ってよいか、社内の作業手順や設備名など機密にあたる情報を入力してよいかは、必ず社内ルールを確認してから使ってください。判断に迷う情報は、ぼかして入れるか、入れないのが安全です。
『[ ]』の部分を、角括弧の中身(「例:〜」も含めて)まるごと、自分の現場の内容に書き換えてから使ってください。下のコードを丸ごとコピーして、ChatGPTやClaudeなどのAIに貼り付ければOKです。
あなたは、製造現場で新人・後輩の指導(OJT=On the Job Training、実際の作業をしながら教える教育)を任されたベテランの先輩社員です。 教えるのが初めての人にも役立つよう、抜け漏れのない「OJTチェックリスト」のたたき台を作ってください。 ────────────────────── 【教える作業の情報】 ■作業名:[ 例:汎用の工作機械を使った日常点検 など ] ■教わる人の経験:[ 例:入社2ヶ月目、この作業はほぼ未経験 など ] ■使う設備・道具:[ 例:対象の機械、点検用の器具など。複数あれば箇条書きで ] ■私が普段教えている内容(箇条書きでOK):[ 例:主電源を止めて確認する/オイルの量と汚れを見る/カバー類の緩みを見る など、思いつく順にどんどん書く ] ■(任意)特に危ないと感じているポイント:[ 例:ここで指を挟みやすい、ここを飛ばすと大きな事故につながる など ] ■(任意)今まで教えていて困ったこと:[ 例:毎回説明の順番がバラバラになる、急いでいると一部を飛ばしがち など ] ────────────────────── 【お願いしたいこと】 上の情報をもとに、以下の①〜④の順番でOJTチェックリストのたたき台を作ってください。 ① 教える手順(作業の流れに沿って、私が書いた箇条書きを、抜けがちなポイントも補いながら時系列に並べ直す) ② 各手順の確認ポイント(教える側が「できているか」を確認する目線で、具体的な行動として書く) ③ 教えるときの一言(新人がつまずきやすい部分に、口頭で添えるとよい一言) ④ よくあるつまずき・注意点(初めて教わる人にありがちな失敗・不安のパターン) ①〜④は、手順ごとに対応させて、マークダウンの表で出力してください(列:手順/確認ポイント/教えるときの一言/よくあるつまずき)。 【必ず守ってほしいルール】 ・安全に関わる手順(電源を止める、保護具を着ける、指差し確認をする など)は、抜かさず必ず入れてください。 ・「気をつける」「注意する」だけの表現は避け、具体的にどう確認するかを書いてください。 ・私が書いた箇条書きに無い項目でも、この作業なら一般的に必要と考えられる確認事項があれば、「(提案)」と付けたうえで補ってください。 ・断定できない・現場でしか分からない部分は「要確認」と明記してください。 ・出力の最後に、「これはたたき台です。実際の手順・安全基準は、職場のルールと上長・有資格者の確認を必ず経てください」という一文を入れてください。 ・出力はすべて日本語でお願いします。
やり取りを重ねるときの、ちょっとしたコツ
一回で完璧なものは出てきません。私の場合、こんなふうに二言三言、往復しています。
- 表がざっくりしすぎていたら「もっと具体的に、行動として分かるレベルで書いて」と一言足します
- 抜けが気になったら「〇〇の確認も足して」とその場で直接指示します
- 手順が多すぎて重たいと感じたら「最初の3手順だけでいったん出して」と範囲を絞ります
- 教わる人の経験レベルが変わったら、その都度「今回は入社1年目向けで」と伝え直します
一度きりで終わらせず、何度かキャッチボールするつもりで使うのが、いちばん実用的なものに仕上がる感覚です。
OJTチェックリストを現場で使うときの注意点
便利だからこそ、ここははっきり言っておきます。AIが出すのは、あくまで「たたき台」です。
- 最終確認は必ず、職場のルールと上長・有資格者にお願いしてください。AIは自社の設備の癖も、社内規程も知りません。もっともらしく見える手順でも、自社のやり方と違っていることがあります。
- 安全に関わる部分は特に慎重に。AIが補ってくれた項目も含めて、実際の作業手順・法令・メーカー指定の方法と食い違っていないか、必ず分かる人が確認してください。
- 個人情報・社外秘はAIに入れない。後輩の名前や、社内限りの手順・設備名は打ち込まないこと。作業の種類を一般的な言葉で書けば、たたき台としては十分です。会社でAIの利用ルールが決まっている場合は、必ずそれに従ってください。
- チェックリストは「教える手間を減らす道具」ではない。あくまで抜け漏れを防ぐための下敷きで、実際に隣について、やってみせて、やらせてみて、確認する。ここは変わりません。
私が後輩指導でずっと大事にしているのは、「常識だから」「前にも言った」を言わないことです。常識の基準は人によって違いますし、一度で完璧に覚えられる人はいません。一番怖いのは、聞きに来ないまま何となく作業を進めてしまうこと。だからこそ、聞きやすい空気と、抜け漏れのない土台の両方を用意しておきたいと思っています。
余談:抱え込みたくなる気持ちも、分かるんです
少し話はそれますが、教えることが職場での評価指標につながっていない、と感じることがあります。人を育てても評価や給料が変わらないとなると、正直、教える側のやる気は上がりにくいものです。そのせいか、特殊な作業をひとりで抱え込む先輩を見かけたこともあります。「自分にしかできない仕事があるほうが、大事にされる」という気持ち、正直よく分かります。周りから頼りにされている実感は、何にも代えがたいものですから。
でも実際は、その人がいないと現場が回らなくなり、休みも取りづらくなる、という綱渡りの状態でもあります。教える中身を書き出して残しておくことは、自分の価値を下げることではありません。むしろ、「教えられる人」という、もうひとつの価値を手に入れることだと、私は思っています。
まとめ:教える中身は、書き出せば仕組みになる
教える中身が属人化するのは、それが誰かの頭の中にしかないから。だったら、その中身を書き出して形にする部分だけ、AIに手伝ってもらえばいい。人間がやるべきなのは、「何を教えるか」を出すことと、「出てきたものが正しいか」を最後に見極めることです。
- 教える内容を、まず自分の言葉で箇条書きにします
- AIに相談しながら、手順・確認ポイント・教える一言・つまずきの表に整理してもらいます
- 最終確認は必ず、職場のルールと上長・有資格者
- 個人情報・社外秘は入れません。会社のAI利用ルールに従います
一度チェックリストの形にしておけば、教える人が変わっても、抜け漏れの少ない指導ができます。まずは今教えている作業をひとつ、箇条書きにして、AIに渡してみてください。
AIとはKY活動のネタ出しやリスクアセスメントのたたき台づくりも一緒にやってきました。よければそちらも合わせてどうぞ!プログラミング未経験の私がAIとアプリを作った実践編もあります。
・工場・現場の安全対策のまとめ →「【保存版】工場・現場の安全対策まとめ」
以上、ご安全に!!



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