世間一般にはきっとあまり知られていないのに、製造業では間違いなく一度は聞いたことがある言葉……それが「5S3定」だと思います!
この記事はもともと2020年に、「SQDC」の記事でも登場した大先輩Oさんに教えて頂いた内容をまとめたものでした。おかげさまで、今ではこのブログで一番読まれている記事になっています!
実はあれから私は転職をしまして、今は前とは別の職場で働いています。そこで気付いたことがあります。
職場が変わっても、5S3定はどこにでもある!ということです笑 ただ、言葉だけが有名で、「そもそもなんでやるのか?」まで深く考えたことがない方も多いと思います!
そこで今回は2026年版として、用語の解説はそのままに、現場でよくある具体例と安全とのつながりを足してまとめ直しました!
5S3定とは
5Sは
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- 躾
3定は
- 定位置
- 定量
- 定品
を略した言葉になります!
3定については、順番が違ったり表現が違うこともあるかと思いますが、意味としては同じかと思います!
ちなみに5Sは、トヨタをはじめとする日本の製造業の現場から広まったと言われています(起源には諸説あるみたいなので、断定はしないでおきます笑)。今では工場だけでなく、オフィスや病院などでも使われているそうです!
そもそもなんで5Sをやるの?
1つずつ解説する前に、今回どうしても足したかった話をさせてください!
5Sって「職場をキレイにすること」が目的だと思われがちですが、私は「ケガをしないための土台」だと思っています。
- 床に物が置きっぱなし → つまずいて転倒
- 通路に台車がはみ出している → ぶつかってケガ
- 棚の上に重い物が雑に置いてある → 落ちてきて直撃
どれも、整理整頓ができていれば防げたケガです。実は、働く人のケガ(休業4日以上の労働災害)の中で一番多いのは機械への巻き込まれではなく「転倒」なんです。厚生労働省の統計では、2024年(令和6年)は転倒だけで約3万6千人と、ケガ全体の約4分の1を占めています。整理整頓は地味に見えて、一番身近な労災対策なんです!(ちなみに、日常の清掃や、通路に物を置かず安全に保つことは、労働安全衛生規則でも事業者に求められています) そして、「1件の重大な事故の裏には、29件の軽いケガと300件のヒヤリハットが隠れている」というハインリッヒの法則という有名な法則があります。5S3定は、この300件のヒヤリハットの芽を毎日コツコツ摘み取る活動でもあるんです!
ハインリッヒの法則については別の記事でまとめていますので、ぜひあわせて読んでみてください!
→ 【ハインリッヒの法則】労働災害に関する法則です!(他業界でも活用できます) もちろん「物を探す時間が減る」「物の取り間違いによる不良が減る」といった効果もあります。でも現場で働く身としては、まずは「自分と仲間がケガをしないため」と考えるのが一番しっくりきます!
実は転職して気付いたことがあります。今の職場は建屋が新しいので、パッと見は今の方がずっときれいなんです。でも5Sの「意識」は、前の職場の方が圧倒的に高くて、厳しくもありました。まさにみんなで作り上げた文化という感じで、私はあの空気が好きでした(ちょっとやりすぎかな?と思う場面もありましたが笑)。
建物の新しさと5Sのレベルは別物。これが2つの職場を見た正直な感想です!
では、ここから1つずつ解説していこうと思います!
5Sを1つずつ解説します!
整理(せいり)
要・不要なものを区別して、不要なものを捨てる(処分する)こと
整理って普段から使っている言葉ですが、いざ「どういう意味?」と聞かれるとちょっと詰まってしまいませんか?!
私もOさんに「5S3定の意味を詳しく言ってみろ!」と言われたときに、整理の後には整頓も待ち構えているので、正直意味が分からなくなり焦りました笑 前の職場では、何十年前かに1度使ったきりの道工具がたくさん眠っていました。「いつか使うかも」が積み重なると、置き場はどんどん狭くなっていくんですよね…。
そこで現場の定番なのが「赤札作戦」です!「これ要る?」と思った物に赤い札を貼って見える化し、期限までに誰も使わなければ処分を検討する、という方法です。捨てる判断を個人の度胸ではなく職場のルールでできるのが良いところだと思います!
5S活動で1番大事で、1番難しい項目かもしれません。
整頓(せいとん)
整理で必要になった物を、必要な時に取り出せるようにしておくこと
必要な物だけになった状態で、使用頻度や重要度を決めて並べ替え、いつでも取り出せるようにすることです!
現場でよく見る工夫はこの2つです!
- 工具の形どり管理…工具板に工具の形(影)を描いておく方法です。戻す場所が一目で分かるうえに、「戻っていない工具」もすぐ気付けます!
- 床の区画線…通路と置き場を白や黄色の線で区切る方法です。「線の内側にしか置かない」が守られると、通路に物がはみ出さなくなって、つまずきや台車との接触の防止にもなります!
ゴールは「新人さんでも、どこに何があるか一発で分かる」状態だと思います!
清掃(せいそう)
キレイにすること
すいません、語彙力がなくてこれ以上思いつきません!(ここは2020年から変わってません笑) ただ、目的ははっきりしていて、異常にすぐ気付けるようにしておくということです!
例えば普段から油でギトギトの機械は、油漏れしていても気付けないですし、どこから漏れているのか特定するのも難しいです。普段からキレイなら「あれ、昨日までこんな所に油なかったぞ?」とすぐ気付けます!
現場には「清掃は点検なり」という言葉もあって、毎日の掃除がそのまま設備の点検になっているんですね!
清潔(せいけつ)
キレイな状態を保つこと
もうちょっと詳しく言うと、整理・整頓・清掃された状態を保つことです!
一般的には除菌されているとか衛生的なイメージの言葉ですが、5Sの世界では「3S(整理・整頓・清掃)が崩れていない状態」という意味で使われることが多いと思います!
そして「保つ」は気合いだけでは続きません…。清掃の当番表やチェックリストのように、仕組みにしてしまうのが長続きのコツだと思います!
躾(しつけ)
4S(整理・整頓・清掃・清潔)状態を自分たちでルールを決めて、守ること
(私が初めて躾と聞いたときは、え?「せい〇〇」じゃないの?とか思ってました笑) 結局、最後はそこにいる「人」にかかっています!
現場の定番は5Sパトロールです!定期的に職場をまわってチェックして、良いところ・直したいところを共有する活動です。「アラ探し」になるとギスギスするので、「他の職場のいいところを盗む」くらいの気持ちでやると続きやすい気がします!
理想を求めすぎて無理に守れないルールを決めると、すぐに誰も守らなくなるので気を付けましょう!
前の職場では、測定具や道工具は「そこにしか置けない」ようになっていて、使用中のものはひと目で分かるように明示されていました。誰が見ても「ある・ない・使用中」が分かる状態です。当時は当たり前だと思っていましたが、離れてみて「あれはすごい文化だったんだな」と実感しています!
3定を1つずつ解説します!
定位置(ていいち)
物を置く位置を決めること
そのままですね!
ただ、「製品置き場」みたいにざっくり決めて定位置としている職場、結構多いと思います。
棚に「A-1」「A-2」と番地を付けたり、床の区画線で「ここは部品箱2つ分」と決めたり、具体的に何をどこに置くのかまで、みんなで話し合ってしっかりルールにしたほうが継続しやすいと思います!
定量(ていりょう)
適正な量を置くこと
本当に必要な量を過不足なく置いておくことです!
よくある工夫が、置き場に「最大〇個・最小〇個」の表示をしておく方法です!「この線まで減ったら補充」と見えるようにしておけば、誰でも同じ判断ができます!
仕事の量や、製品の改良、使っている道工具の改善などで必要な物は少しずつ変化していきます。職場のみんなで定期的に話し合って適正な量を決めて、徐々に最適化していくのが良いと思います!
定品(ていひん)
決められた物を置くこと
定位置を決めても、置いてあるものが違っていたら話になりません!
場所があいてるからと言って適当に物を置いてしまうと、探す手間が増えたり、よく似た物を取り間違えてしまうなどのリスクも増えてしまいます。
表示と現物がズレてきたら黄色信号です。表示を写真付きにしておくと、文字だけより間違いがグッと減るのでおすすめです!
5Sあるあるなのですが、「ずっと使っていないから」と思い切って捨てた途端に必要になったこと、私は何度もあります笑。かと言って「いつか使う」で取っておくと、どんどん溜まっていく…。整理の永遠のジレンマですね。
前の職場では最終的に「必要になったら、また買いましょう・作りましょう」という考え方に変わっていきました。この割り切りも5Sのうちだと私は思います!
まとめ
今回は5S3定について、2026年版としてまとめ直してみました!
5S
- 整理 … 不要なものを処分し
- 整頓 … 必要な物をいつでも使えるようにしておき
- 清掃 … 異常が見つかるようにキレイにしておき
- 清潔 … 整理・整頓・清掃状態を保てるように
- 躾 … ルールを作り、守ること
3定
- 定位置 … 物を置く位置を決める
- 定量 … 適正な量を置く
- 定品 … 決められた物を置く
そして5S3定は、職場の見た目をキレイにするためだけの活動ではなく、転倒やつまずきなどのケガから自分と仲間を守る土台だと私は思っています!
活動に夢中になってしまうと、本来の目的からズレてしまうこともあると思います。そんな時は「この5Sは誰のどんなケガを防ぐんだっけ?」と一度立ち返ってみると、活動の優先順位も見えてくるかと思います!
他の職場ではどういう5S3定をやっているのか、私もとても気になりますので教えて頂けると嬉しいです!
安全つながりで、こちらの記事もあわせてどうぞ!
→ 【ハインリッヒの法則】労働災害に関する法則です!(他業界でも活用できます) → WBGTってなに?2025年6月から職場の熱中症対策が義務化されました!【工場の現場目線で解説】 以上!ご安全に!!


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