7月に書いた全国安全週間の記事の中で、「10月1日〜7日には、全国労働衛生週間という別の運動もある」と注意書きだけ添えていました。あのときは一文で済ませたきりになっていたのですが、9月に入り、いよいよその「もう一つ」の準備期間が始まりました!
職場によっては、この時期になると掲示板や朝礼で「衛生週間」ということばを見かける、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、前の職場ではこの時期になると職場巡視や朝礼での情報共有、教育資料の配布、外部講師の講話などが必ずありました。力の入れ方は職場によって温度差があるものだと思います。
とはいえ、中身そのものは工場で働く私たちに関係の深い話ばかりです。今日は、この全国労働衛生週間がどんな運動なのか、日程からスローガン、今年の重点事項まで、まとめて整理しておこうと思います。
この記事でわかること
- 全国労働衛生週間の日程(準備期間・本週間)
- 第77回・全国労働衛生週間とはどんな運動か
- 令和8年度のスローガンと、前年との違い
- 7月の「安全週間」と何が違うのか
- 実施要綱から、現場目線のポイント5つ
- 準備期間の9月にできること
まず日程から。9月が準備期間、10月1〜7日が本週間です
ややこしいので、最初に日程だけ整理しておきます。
| 期間 | 日程 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 準備期間 | 9月1日〜9月30日 | 日ごろの労働衛生活動を総点検する期間 |
| 本週間 | 10月1日(木)〜10月7日(水) | 職場巡視や講習などの取り組み |
この記事を9月に読んでいるなら、ちょうど準備期間のさなかです。10月になってから慌てて動くより、9月のうちに少しずつ仕込んでおくほうが、本週間を気持ちよく迎えられます。なお、「準備期間だから9月中にこれをしないと違反になる」という意味ではありません。実施要綱では、各職場が日ごろの労働衛生活動を総点検する期間、という位置づけです。
そもそも「全国労働衛生週間」とは
全国労働衛生週間は、働く人の健康を守り、快適に働ける職場をつくることを目的に、厚生労働省と中央労働災害防止協会(ちゅうおうろうどうさいがいぼうしきょうかい。以下「中災防(ちゅうさいぼう)」)が中心になって、毎年全国でいっせいに呼びかけている運動です。
始まったのは昭和25年(1950年)。一度も途切れることなく続いていて、2026年(令和8年)で第77回を迎えます。「衛生」ということばは少し堅く聞こえますが、ここでは「働く環境を整えて、体と心の健康を守ること」だと思ってもらえれば大丈夫です。毎年、厚生労働省が「実施要綱(じっしようこう。その年の取り組み方針をまとめた文書)」を公表し、そこにスローガンと重点事項が示されます。
令和8年度のスローガンと、私なりの受け取り方
今年(令和8年度)のスローガンは、一般公募131作品の中から選ばれた、次の一文です。
ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場
「ひとりひとりが貴重な人材」という出だしを読んで、私は、もちろん自分のことも大切に、そして一緒に働く仲間のためにも、健康管理をしようと思いました。誰か一人が体調を崩して抜ければ、その分は残った人が受け持つことになります。健康管理は自分のためだけでなく、隣で働く仲間のためでもある——このスローガンを、私はそう受け取りました。
ちなみに前年(令和7年度・第76回)のスローガンは「ワーク・ライフ・バランスに意識を向けて ストレスチェックで健康職場」でした。年によって少しずつ切り口が変わるのも、この週間のおもしろいところだと思います。
「安全」と「衛生」は何が違う?

「安全週間と、何がどう違うの?」と思われた方もいるかもしれません。実のところ、厚生労働省や中災防が両者をはっきり対比して説明している公式な資料は、私が調べた範囲では見当たりませんでした。ですので、ここから先は断定ではなく、私なりの整理として読んでください。
期間や回数、スローガンはそれぞれ別に定められていて、別の運動として実施されています。そのうえで、テーマの重心には違いがあります。7月の全国安全週間は、ケガや事故を防ぐことが中心。10月の全国労働衛生週間は、体と心の健康を守ることが中心です。主唱しているのはどちらも厚生労働省と中災防で、そこは共通しています。
今年、実施要綱に挙げられている現場目線のポイント5つ

実施要綱には、女性の健康課題や過重労働対策など、重点事項がかなり幅広く並んでいます。全部を書くと散らかってしまうので、今日のところは、工場で働く私たちに関係が深いと感じた5つだけ、かいつまんで紹介します。
健康診断
9月は「職場の健康診断実施強化月間」でもあります。健診そのものは毎年受けていても、結果に「要再検査」とあると、忙しさにまぎれて後回しになりがちです。再検査の指示があれば、まずはそのとおり受診につなげることが基本です。職場に産業医(さんぎょうい。職場の健康管理を担当する医師)がいれば、相談するのも一つの方法です。この話は、また別の記事で詳しく書こうと思っています。
転倒・腰痛
厚生労働省の令和7年確定値によると、休業4日以上の死傷者数を事故の型別で見たとき、全産業でいちばん多いのは「転倒」で、37,195人でした。製造業だけで見ると「はさまれ・巻き込まれ」が最多で、転倒はその次に多いという結果です。重い物の持ち方についても、指針でおおよその目安が示されています。どちらも、慣れているからこそ油断しやすい分野だと感じます。
化学物質(SDS)
一定の危険・有害な化学物質を譲渡・提供するときには、「安全データシート(SDS。危険性や取り扱い方法をまとめた書類)」による情報提供が、提供する側に義務づけられています。受け取った職場の側では、必要なときにすぐ確認できる状態にしておくことが大切です。ラベルの表示や保護具の使用も含めて、実施要綱にも挙げられている分野です。SDSは棚の奥にしまい込んでいる、という現場も少なくないと思いますが、いざというときに引き出せる場所にあるかどうかは、確認しておく価値があります。
熱中症
労働安全衛生規則が改正され、2025年6月から、一定の暑熱作業(暑さの厳しい環境で一定時間以上行う作業)では、熱中症のおそれがある人を早く把握するための報告体制や、重症化を防ぐための対応手順を整えて周知することなどが、事業者に義務づけられています。すでに施行されている制度なので、「新しくできた」というより「もう始まっている」制度、という言い方が正確だと思います。10月に入っても、日中はまだ暑さが残る日があります。詳しい基準や対策はこちらの記事にまとめていますので、あわせてどうぞ。
治療と仕事の両立
持病やケガの治療を続けながら働けるように、職場が支援する取り組みです。2026年4月からは、事業主の努力義務として法律にも位置づけられています。これは、実施要綱の中でも重点のひとつとして挙げられています。すぐに自分ごととして感じにくいテーマかもしれませんが、いつ誰の身に起きてもおかしくない話でもあります。
熱中症については、すでに公開済みの記事にまとめています。ほかのテーマも、9月から10月にかけてそれぞれ別の記事でじっくり書いていき、できたものから順次このページにリンクを足していきます。今日のところは、こういう重点があるということだけ、頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。
準備期間の9月にできること
本週間が始まる前の、この準備期間にできることを、短くまとめておきます。
- 健診の予約を入れる、または受診日を確認する
- 「要再検査」の通知が届いていないか、一度引き出しを確認してみる
- 通路や足元に危ないものが置きっぱなしになっていないか、ついでに見ておく
- 重い物を運ぶときの持ち方を、少し思い出してみる
- 扱う薬品があれば、SDSがどこに保管されているか確認しておく
- 眠れているか、疲れがたまっていないか、自分の調子を振り返ってみる
どれも特別なことではなく、ふだんの延長でできることばかりです。すべてやろうとしなくても大丈夫です。ひとつでも心当たりがあれば、そこから始めてみてください。
まとめ
7月の全国安全週間では、ケガや事故から身を守ることを確認しました。10月の全国労働衛生週間は、体と心の健康を守る番です。第77回、10月1日(木)〜7日(水)。準備期間の9月は、もうすでに始まっています。
7月の安全週間や、現場の安全対策全般を振り返りたい方はこちら → 【保存版】工場・現場の安全対策まとめ
以上、ご安全に!!
→ あわせてどうぞ!



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