健康診断の「要再検査」、放置していませんか|二次健診が無料になる条件と3か月の期限

健康診断の「要再検査」の通知を手にする作業服の女性のアイキャッチ お金の話

健康診断の時期は会社によってさまざまで、春に受ける方が多い印象ですが、秋に受ける会社もあります(私も、前の職場と今の職場では時期が違います)。結果の封筒を開いて、判定の欄に「要再検査」の文字を見つけた瞬間、ドキッとした経験がある方は少なくないと思います。ただ、忙しい毎日の中では、その日の緊張感も数日たてば薄れてしまうものです。「今度でいいか」「そのうち行こう」――そうやって後回しにしてしまうのは、誰にでも起こりうることだと思います。

実は9月は「職場の健康診断実施強化月間」でもあり、10月1日〜7日の全国労働衛生週間の準備期間にもあたります(詳しくはこちらの記事にまとめました)。健診の結果を見直すには、ちょうどいいタイミングかもしれません。

今日は、「要再検査」をそのままにしておくとどうなるのか、そして知っておくと得をする「二次健康診断等給付」という制度について、まとめておこうと思います。

この記事でわかること

  • 「要再検査」を放っておくと、何が変わるのか
  • 二次健康診断等給付(労災保険)が無料になる条件
  • 実際にどうやって受けるのか、大まかな流れ
  • 治療が長引いたとき・仕事を休んだときのお金の備え

「要再検査」、放っておくとどうなるか

細かい医学的な判断は、もちろん医師にお任せするところですが、ここでは制度の面から整理しておきます。定期健康診断で異常の所見があった人については、その結果をもとに、会社が医師(多くの場合は産業医〔さんぎょうい。職場の健康管理を担当する医師〕)から意見を聴き、必要に応じて作業の転換や労働時間の短縮といった措置をとることが、法律で決められています。この意見を聴く義務は、一次健診の結果そのものが根拠になっているので、「要再検査」は本人だけの話ではなく、会社側にも対応の義務が生まれる通知でもあるんですね。

実際、再検査を受けた結果、特に問題がなければそれで安心できます。反対に、何か見つかったとしても、多くの場合は早めに対処したほうが、その後の負担は軽くて済みます。「痛くも痒くもないから」と先延ばしにしたくなる気持ちはよく分かりますが、後回しにして得をすることは、まずありません。

正直なところ、「労災保険」「給付」といった言葉を聞くと、それだけで少し身構えてしまう、という方もいらっしゃるかもしれません。私も、制度の名前を覚えるまでは同じように感じていました。仕組みそのものは、思っているより難しくないので、この機会に整理しておきます。

この記事は制度の説明であり、診断や治療をすすめるものではありません。所見の内容や体の状態については、必ず医師にご相談ください。

早めに動くと・そのままにすると

「要再検査」への向き合い方で、その先の道はけっこう変わってきます。同じ通知を受け取っても、動くタイミングひとつで、その後にできることの幅がまるで違ってくるんですよね。ざっくり整理すると、こんな違いです。

動き方 その先で起きること
早めに動くと 二次健康診断等給付の条件を満たせば、二次健診・特定保健指導が無料。会社側も判断材料がそろい、対応が進めやすくなる
そのままにすると 二次健康診断等給付の条件を満たしていても、3か月の請求期限が切れると無料の対象から外れる。体の状態がはっきりしないまま、時間だけが過ぎていく

二次健康診断等給付 ── 4項目すべてに異常の所見があるなど、条件を満たせば無料

定期健康診断(一次健診)で一定の異常が見つかった場合、労災保険から「二次健康診断等給付」という制度を使って、二次健診と特定保健指導(食事・運動・生活習慣について医師や保健師からアドバイスを受けるもの)を無料で受けられる仕組みがあります。厚生労働省の資料をもとに、条件を整理しておきます。

  • 一次健診で、血圧検査・血中脂質検査・血糖検査・腹囲の検査(またはBMI〔体格指数〕の測定)の4項目すべてに、異常の所見があると診断されていること
  • 脳・心臓疾患の症状がないこと(すでに症状が出ている場合は対象外です)
  • 労災保険に特別加入している方ではないこと

なお、一次健診で腹囲の代わりにBMIだけを測っていた場合は、そのBMIの値をもとに判定されることがあります。細かい数値の基準はここでは省略しますので、気になる方は健診を受けた医療機関や会社の担当窓口に確認してみてください。

二次健診が無料になる条件のフロー図。一次健診で4項目すべてに異常の所見、脳・心臓疾患の症状がないこと、一次健診から3か月以内に請求、で二次健診と特定保健指導が無料

※図は主な条件です。労災保険に特別加入している方は対象外です。

請求できる期間にも決まりがあります。一次健診を受けた日から、原則として3か月以内です。天災などやむを得ない事情がある場合は例外もありますが、基本は「3か月以内」と覚えておくのが安全です。忙しさに紛れて先延ばしにしていると、体の心配より先に、この期限のほうが切れてしまいます。なお、この給付は1年度(4月1日から翌年3月31日まで)に1回だけ受けられる仕組みです。

条件を満たせば二次健診を無料で受けられ、対象となる場合は特定保健指導も無料で受けられます。「要再検査」を放っておく理由の一つに費用への不安がある方もいると思いますが、この制度を使えば、その心配は要らないケースが少なくありません。

痛くも痒くもない再検査ほど、後回しになる。困るのは体だけじゃない。

どうやって受ける?

二次健康診断等給付を受けるときは、労災病院や、都道府県労働局長が指定する病院・診療所で受診する、という流れになります。まずは健診結果に同封されている案内を確認するか、会社の健診担当の窓口(総務や人事、産業医の窓口など)に相談するのが早道です。手続きとしては、請求書に一次健診の結果など必要な書類を添えて、受診する病院を通じて都道府県労働局に提出する流れが一般的です(書式や添付書類は、病院や労働局の案内に従ってください)。職場に窓口が見当たらない、どこに聞けばいいか分からない、という場合は、都道府県労働局に問い合わせれば手続きの流れを教えてもらえます(最寄りの労働基準監督署でも取り次いでもらえます)。

「手続きが面倒くさそう」と感じるかもしれませんが、条件に当てはまるなら、無料で受けられる検査をわざわざ自費で受けるのはもったいない話です。まずは会社の窓口か労働局に、一本連絡してみることから始めてみてください。

この制度は、業種によって対象が分かれるものではありません。工場勤務でも事務職でも、定期健康診断を受けていて上の要件を満たしていれば、同じように利用できます。「現場だから」「事務方だから」で受けられる・受けられないが変わるものではありません。

それでも「要再検査」を放っておいたときの、お金の話

ここまでは、早めに動けば無料で対応できる、という話でした。健診の先には、治療が必要になる場面や、仕事を休む場面が出てくることもあります。そのときに効いてくるのが、お金の備えです。

治療が長引いて医療費がかさんだときの備えについては、以前高額療養費制度の記事にまとめました。ひと月の医療費には上限がある、という制度です。また、通院や入院で仕事を休むことになった場合は、傷病手当金で収入の一部を支える仕組みもあります。「要再検査」を早めに片づけておくことは、体だけでなく、こうしたお金の心配を遠ざけることにもつながります。

私の一歩

私自身、健康診断で「要再検査」の通知を受け取ったのは、これまでに一度だけです。そのときは、すぐに予約を取って再検査へ行きました。職場からも「予約が取れ次第、できるだけ早いタイミングで行ってほしい」と連絡が来て、上司にも話が通っていました。上で書いた「会社側にも対応の義務がある」という話を、身近に感じた出来事です。特別なことをしたわけではなく、通知が来たら、そのとおりに動いただけです。すべての「要再検査」が無料の対象になるわけではありませんが、「要再検査」の四文字は、決して脅し文句ではなく、早めに動いた人が得をする仕組みへの入り口なんですよね。まずは、通知が来ていないか、引き出しの中を一度確認してみてください。

まとめ

痛くも痒くもない再検査ほど、後回しになる。困るのは体だけじゃない。

「要再検査」は、ただの注意書きではありません。二次健康診断等給付という、無料で受けられる制度への入り口でもあります。条件は、一次健診の4項目すべてに異常の所見があること、脳・心臓疾患の症状がないこと、そして一次健診から3か月以内に請求すること(労災保険の特別加入者は対象外です)。この3つを覚えておくだけで、いざというときの動き方が変わってきます。

工場や現場の安全対策全般については、こちらの保存版まとめもあわせてご覧ください。

体は、代わりのきかない道具です。整備を後回しにしないであげてください。

以上、ご安全に!!

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参考

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