【製造業の基礎】表面粗さってなに?RaとRzは「ざらざら・つるつる」でつかむ

表面粗さってなに? ざらざら・つるつるを数字にする 工場生活

先日、職場の後輩に「表面粗さ(ひょうめんあらさ)」のことを教える機会がありました。一緒に資料を見ながら説明したんですが、正直、どの図もかしこまっていて……後輩の顔に「?」が浮かんでいるのが分かりました。笑

で、資料を閉じて、こう言い直したんです。「要は、表面の『ざらざら・つるつる』を数字で言えるようにしたもの」。そうしたら、スッと通じました。

教科書的な説明だと、いきなり記号と数式が出てきて身構えてしまうんですよね。私もそうでした。なので今日は、後輩に教えた流れそのままに、新人の方でも直感的に分かる順番で表面粗さをまとめてみます。細かい規格の話は最小限にして、現場で本当に使うところだけいきますね。

この記事でわかること

  • 表面粗さ=表面の「ざらざら・つるつる」を数字にしたもの、という直感
  • 図面でよく見るRaとRzの違い(平均か、最大か)
  • 昔の図面の三角マーク(▽)や「25S」の読み方と、数字の相場観

表面粗さってなに?──表面は、ミクロで見ればぜんぶ山と谷

表面粗さのイメージ図解。砂利道と舗装路の対比で金属表面の山と谷を説明
ツルツルに見える面も、拡大すると山と谷。どれくらいガタガタかを数字にしたのが表面粗さです。

ツルツルに見える金属の表面も、うんと拡大すると、細かい山と谷がずっと続いています。この山と谷の細かさ・深さを数字で表したのが表面粗さです。

道路にたとえると分かりやすいです。砂利道はガタガタ、舗装したての道はツルツル。「どれくらいガタガタか」を数字で言えるようにしたもの──それが表面粗さなんですね。

単位はµm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1です。髪の毛の太さがだいたい80µmくらいなので、図面に出てくるRa 1.6とかRa 6.3という数字が、いかに細かい世界の話か分かると思います。目分量では測れないレベルの凸凹を、数字で管理しているわけです。

じゃあ、なんでそんな細かい凸凹を気にするのか? ざっくり言うと、部品の「すべり」「密着」「見た目」に効いてくるからです。オイルシールが当たる軸がざらざらだと油が漏れる、ぴったり合わせたい面がざらざらだと隙間ができる──そういう場所ほど、図面で「ここはつるつるに仕上げてね」と指示が入ります。

RaとRz、どう違う?──「平均」か「一番深いところ」か

図面でいちばんよく見るのがRaRzです。ここが新人さんの最初のつまずきポイントなんですが、直感はこうです。

RaとRzの違いの図解。Raは山と谷をならした平均、Rzは一番高い山と一番深い谷
Raは「全部ならした平均」、Rzは「一番高い山と一番深い谷」。深いキズはRaには出にくいのがポイントです。

Ra=山と谷を全部ならした「平均」の粗さ(算術平均粗さ)

Rz=一番高い山と一番深い谷で見た「最大」の粗さ(最大高さ粗さ)

テストの点数にたとえると、Raは「クラスの平均点」、Rzは「一番良い点と一番悪い点の差」みたいなものです。

ここで大事なのが、Raは平均なので、深いキズが1本あっても数字には出にくいということ。全体はきれいなのに1か所だけ深い谷がある──そんな面でも、Raだとあまり変わらないんです。だから「1本の深いキズも許したくない面」(シールが当たる面など)では、最大値で見るRzがよく使われる、という使い分けなんですね。

注意:昔の図面の「Rz」は、今のRzと別物のことがあります

実はJIS(日本の規格)の改正で、Rzという記号の中身が途中で変わっています。昔の規格のRzは「十点平均粗さ」という別の測り方で、今の「最大高さ」の意味になったのは2001年の改正から。昔のRzは今では「RzJIS」と書いて区別します。逆に、今の「最大高さ」にあたるものは、昔の図面では「Rmax」や「Ry」という記号で書かれていました。規格の本文にも「新旧の測定値の差は無視できるほど小さいとは限らないので、すでに発行されている図面を使うときは注意」という趣旨の注記があるくらいなので、年代物の図面のRzは自分で判断せず、会社の規定や上司に確認してくださいね。ここは新人さんが独断でやってはいけないところです。

三角マーク(▽)の図面、まだまだ現役です

もうひとつ、現場あるあるがこれです。教科書にはRaやRzで載っているのに、実際の図面を開くと▽(三角マーク)がずらり──。実はこの記号、昭和の時代から使われてきた大ベテランで、1994年の規格改正で正式なルールからは外れた「旧記号」なんです。でも、古い図面や昔ながらの職場では今もバリバリ現役です。

読み方はシンプルで、三角の数が多いほど、つるつるに仕上げるという意味です。(表の中の「S」は、このすぐあとで説明する昔ながらの書き方です)

記号 呼び方とざっくりの意味 Ra(目安) Rz・S(目安)
〜(波マーク) 生地のまま。削らなくてよい(鋳肌・黒皮など) 50〜 200〜
粗仕上げ。加工はするが重要でない面 12.5〜25 50〜100
▽▽ 並仕上げ。旋盤やフライスで経済的に削れる一般的な面 3.2〜6.3 12.5〜25
▽▽▽ 上仕上げ。穴や軸のはめあい面など精密な面 0.4〜1.6 1.6〜6.3
▽▽▽▽ 精密仕上げ。鏡みたいな面。加工コストは高い 0.025〜0.2 0.1〜0.8

※▽・Ra・Rz・Sの対応は「便宜上の関係を表したもので、厳密性はない」とされている目安です(規格由来の注釈として、ミスミなどの技術資料にそのまま載っています)。なお、〜(波マーク)は「削らずそのまま」の指示なので、粗さの数字を積極的に要求するものではありません。実際の判定は必ず図面の注記や社内規定に従ってくださいね。

それともうひとつ。昔の図面やカタログには、「25S」「6.3S」のように数字にSを付けた書き方も出てきます。これは最大高さ(今でいうRz)をµmで表した、昔ながらの書き方です。旧JISの対応表でも、最大高さの数値には小文字の「s」を添えて書かれていて、それがカタログや現場で「25S」のような呼び方として定着したんですね。

そして、Sに馴染んだ人向けの覚え方がこれです。

「SはRaの約4倍」──私が前の職場で教わった覚え方です。

上の表を見てもらうと、たしかにどの行も、Raのほぼ4倍がRz・Sになっていますよね。「Ra 1.6で」と言われてピンと来なくても、「昔でいう6.3Sくらい」と読み替えればベテランに通じますし、逆に「25Sで頼む」と言われたら「だいたいRa 6.3の区分ですね」と当たりを付けられる、というわけです。世代をまたぐ通訳みたいな覚え方なので、覚えておいて損はないですよ。

※この「4倍」も、上の対応表の並びから来る読み替えの目安です。RaとSは測り方そのものが違うので、測った数字を4倍・4分の1にして換算できるわけではありません。実際の面では加工の仕方によって比率がずれるので、正式な判定はあくまで図面の指示どおりに。

数字の相場観──Ra 6.3とRa 1.6、どれくらい違う?

数字だけ見てもピンと来ないと思うので、手触りと加工方法をセットにして相場観を持っておくと便利です。

Ra(µm) どんな面か 加工の目安
25 触ると明らかにザラザラ。加工の跡が目ではっきり分かる 荒削り・鋳肌に近い面
6.3 少しザラつく。ごく普通の機械部品の面 旋盤・フライスの一般的な切削
1.6 ツルツル。光沢が出てくる ていねいな切削仕上げ(はめあい面など)
0.8以下 ピカピカの世界。細かいほど鏡に近づく 研削・ラップなど「磨き」系の領域

※手触りの表現はミスミ(meviy)の技術解説を参考にした一般的な目安です。加工法と数値の対応も、条件によって幅があります。

体感で言うと、Ra 6.3とRa 1.6は指でなぞると違いが分かるレベルです(あくまで私の体感ですが、慣れると結構分かるものです)。逆に、うんと細かい領域になると指ではもう分かりません。ここから先は道具と目の世界です。

そしてもうひとつ、大事な話。「細かいほど良い」ではありません。細かく仕上げるほど工程と時間が増えて、そのままコストになります。図面の数字は「ここまでやれば十分」という設計者からのメッセージでもあるんですね。指示より細かく仕上げても、褒められるどころか時間を溶かしただけ、になってしまいます。

現場での確かめ方──「粗さ標準片」と爪

粗さ標準片と加工面を爪でなぞって比べる場面の図解
標準片と加工面を交互になぞって、指の感覚に「ものさし」を作ります。

「じゃあ現場でどうやって確かめるの?」というと、いきなり高い測定器ではなくて、まず粗さ標準片(あらさひょうじゅんへん)です。いろんな粗さのサンプルが並んだ板で、規格の上では「比較用表面粗さ標準片」という長い名前ですが、現場では「標準片」「比較見本」で通じます。

使い方は、加工した面と標準片を交互になぞって比べるだけ。コツは、できるだけ同じ加工方法の標準片(旋盤の面なら旋削の見本)と比べること。加工の模様が違うと、同じ数字でも触った感じが変わるからです。見た目で比べるより、触って比べるほうが精度が良いと言われています。原始的に見えますが、これがなかなかどうして、慣れた人の指先は侮れません。私も先輩に「爪で覚えろ」と言われた口です。笑

もちろん、検査として数字を出すときは粗さ計(針で表面をなぞって測る測定器)の出番です。ただ、日々の加工中に「ちょっと粗いかも?」と気づけるのは、圧倒的に指と目。だから新人のうちに標準片を触り倒して、指の感覚に「ものさし」を作っておくのがおすすめです。

後輩に伝えた、たった3つのこと

最後に、私が後輩に「これだけ覚えておけば大丈夫」と伝えたことを書いておきます。

  1. 図面の粗さ記号は「どれくらいつるつるにしたいか」の指示。記号を見たら「あ、ここは大事な面なんだな」と読む。
  2. Raは平均、Rzは最大。深いキズを許したくない面はRzで指示されることが多い。
  3. 古い図面のRzと▽は、自分で判断しない。会社の規定と上司に確認する。

全部をいきなり覚える必要はありません。図面で粗さ記号を見かけたときに「そういえば」と思い出してもらえれば、それで十分です。分からない記号が出てきたら、恥ずかしがらずに先輩に聞いてくださいね。聞かれた先輩は、内心けっこう嬉しいものです。

【出典】JIS B 0601:2013(表面性状のパラメータ)、JIS B 0031:2003(表面性状の図示方法)、JIS B 0659-1:2002 附属書(比較用標準片)、ミツトヨ「表面粗さの基礎知識」ミスミ meviy「表面粗さ記号 Ra・Rzとは?」ミスミ技術情報「各種加工法による粗さの範囲」ミスミ技術情報「表面粗さ(1994年規格より抜粋)」リネックス「JIS規格(抜粋)表面粗さ」アマダ「板金加工の基礎講座 表面粗さ」。▽とRaの対応・加工法ごとの数値は一般的な目安で、実際の合否判定や仕上げの判断は各社の図面規定・品質規定に従ってくださいね。

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以上、ご安全に!!

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