今回は、いつもの工場や安全の話をひと休みして、番外編です。きっかけは、手元に届いた1枚の株主優待券。せっかく使うなら、と妻とふたりで予定を立てて、丸の内と駒込を2日間かけてのんびり歩いてきました。
まずは、ケーキの話から始めさせてください。
東京會舘のケーキを妻とひとつずつ買って、丸の内の街角でそっと開けたら、白いクリームのドームがつるんと光っていました。中はたっぷりのマロンクリーム。ひと口含むと、生クリームの奥からまろやかな栗の風味がほどけて、思わず頬がゆるみます。名前は「マロンシャンテリー」。東京會舘の丸の内本舘で買えるお菓子です。
7月のはじめの週末、いつもの安全靴を脱いで、こんなふうにのんびり街を歩くのも、たまにはいいものです!
実は、この2日間には隠しテーマがあります。種明かしは最後に取っておくとして、まずは丸の内のオフィス街を、ゆっくり歩くところから始めましょう。

7月の日差しでじんわり暑い日でしたが、開けた通りと建物の景観のおかげでしょうか、不思議と歩いていて気持ちのいい街でした。ケーキでひと息ついてから、次の目的地へ向かいます。

この記事でわかること
- 三菱商事の「隠れ優待」の中身と、実際に使ってみた体験
- 東洋文庫ミュージアム(モリソン書庫)の見どころ
- 丸の内〜駒込、大人の休日さんぽコース(六義園・旧古河庭園)
【丸の内】赤レンガの美術館で、ちょっと格好つけてみる
甘いものでひと息ついたら、次は少し背筋を伸ばして、赤レンガの美術館へ。三菱一号館美術館です。
この建物、実は一度姿を消しています。もともとは1894年に三菱が建てた洋館でしたが、1968年に老朽化のため解体。その後2009年に復元竣工し、2010年に美術館として生まれ変わりました。赤いレンガと白い窓枠のコントラストは、丸の内のガラス張りのビル群の中でひときわ目を引きます。
この日は、企画展「“カフェ”に集う芸術家」と、小企画展「モネとルドン」をゆっくり楽しみました。展示室に入ると、外の喧騒が嘘のように静かで、床を踏む自分の足音まで聞こえてくるようでした。木の床の足ざわりや、扉や照明の意匠にどこか懐かしさも感じながら、ゆっくり絵と向き合ってきました。

美術館のあとは、東京国際フォーラムへ。ガラス棟の大きな吹き抜けを見上げてから、ホールで音楽をたっぷり楽しみました。1日目はここまで。ケーキに美術館に音楽と、大人の休日の入り口としては上出来だったと思います。
【駒込】株主優待券、こういうときに使います
一泊して迎えた2日目は、場所を変えて駒込へ。向かった先は東洋文庫ミュージアムです。ここで、今回の旅のきっかけをお話ししておきます。
実はこの日、私は三菱商事の株主優待、いわゆる「隠れ優待」を使わせてもらいました。結論から先にまとめておきます。
三菱商事(8058)の「隠れ優待」とは(私の体験ベース)
- 公式の株主優待制度ではありません(IRページに記載のない、非公式の慣行です)
- 内容は、東洋文庫ミュージアムの無料招待券でした
- 私の場合は、単元未満(100株に満たない株数のこと)でも届きました。ただし私一人の体験談で、誰にでも届くと保証するものではありません
どんな優待?
配当金計算書に、東洋文庫ミュージアムの無料招待券が同封されていました。私が確認できたのはこの1点です。
どうやって使う?
招待券をそのまま受付で見せるだけ。2枚綴りになっていたので、夫婦でそのまま入館できました。特別な手続きはいらず、あっさり中へ通してもらえます。

券を握りしめて入館する瞬間、ちょっと得した気分と、少しの緊張が混ざったような、不思議な感覚がありました。

【駒込】モリソン書庫に、思わず息をのみました
東洋文庫は、1924年に三菱3代目社長・岩崎久彌(いわさき ひさや)によって創設された、東洋学の専門図書館です。その核となったのが、久彌が1917年に買い取ったモリソン文庫。欧文図書だけで24,000冊、地図や版画も約1,000点という、想像を超える規模のコレクションです。
ミュージアムの中心にある「モリソン書庫」に足を踏み入れた瞬間、思わず息をのみました。天井近くまで届く本棚に、革張りの古い洋書がびっしりと並ぶ光景は、写真で見るのと実物とではまるで迫力が違います。

外に出ると、東洋文庫の建物自体も落ち着いた佇まいで、書庫の圧倒的な密度とのギャップがまた印象的でした。ミュージアムショップには、おしゃれなトートバッグなどのグッズも並んでいて、つい足が止まります。ひとつ心残りだったのは、併設のレストラン「オリエントカフェ」に立ち寄れなかったこと。こちらは次回のお楽しみに取っておきます。

【駒込】隣にアンパンマン、そして庭園でひと休み
東洋文庫を出てすぐ近くに、フレーベル館の本社があります。玄関横には絵本の自動販売機が設置されていて、絵本『あんぱんまん』などが並んでいます。思わず写真を撮ってしまいました。図書館の重厚な空気から一転、こういう軽やかな出会いがあるのも駒込散歩の面白いところです。

続いて向かったのは六義園(りくぎえん)。江戸時代に柳澤吉保(やなぎさわ よしやす)が7年がかりで作り上げたといわれる回遊式の庭園で、明治11年(1878年)には岩崎彌太郎の所有となり、昭和13年(1938年)に、彌太郎の長男・久彌の代で東京市へ寄付されました。

園内の大泉水(だいせんすい)のほとりに立つと、水面に木々の緑がゆらゆらと映り込みます。都会の真ん中にこんな空間があるとは、と正直驚きました。

歩き疲れたところで、園内の茶屋にひと休み。運ばれてきた抹茶は鮮やかな緑色で、ふわりとした苦みの奥にほのかな甘みがあり、添えられた和菓子との相性も抜群でした。

【駒込】バラの洋館で、種明かしです
最後に立ち寄ったのは旧古河庭園。バラ園と洋館の組み合わせが有名な庭園です。真っ赤なものからクリーム色まで、名前も姿もさまざまなバラが咲いていて、見比べながら歩くだけで楽しい場所でした。バラ園から見上げる洋館は、東京にいることを一瞬忘れてしまうような景色でした。この洋館はジョサイア・コンドル最晩年の作で、大正6年(1917年)5月に竣工したもの。古河家の邸宅として使われた建物です。洋館の中の喫茶室は、飲み物やケーキを注文すれば利用できます。喫茶室以外のお部屋まで見学する場合は、別途入館料(500円)が必要です(内部はすべて撮影禁止のため、写真は外観だけです)。

さて、ここでこの2日間の隠しテーマの種明かしです。実は今日歩いた場所は、みんな一本の糸でつながっています。
丸の内の三菱一号館美術館を設計したのはジョサイア・コンドル。そして東洋文庫を創設したのは三菱3代目・岩崎久彌。六義園はその岩崎家が買収し、久彌の代に東京市へ寄贈した庭園。そして最後に訪れた旧古河庭園の洋館も、同じくコンドルの設計です。建築家ジョサイア・コンドルと、岩崎家という一族。この2日間は、最初からその足跡をたどる道順になっていたのです。

実はこのつながり、私には少し縁がありまして。詳しくは内緒ですが、だからこの旅は個人的に特別でした。

優待さまさまの、2日間でした
丸の内のケーキから始まって、赤レンガの美術館、モリソン書庫の迫力、六義園の水面、旧古河庭園のバラまで。振り返ってみると、盛りだくさんの2日間でした。
たった1枚の招待券から、こんなに濃い2日間になりました。
ちなみに、今回の旅ではふたつ「次回の宿題」ができました。ひとつは、行きそびれた東洋文庫のオリエントカフェ。運営はあの小岩井農場の系列で、「小岩井」は創業に関わった小野・岩崎・井上の3人の頭文字——その「岩」は、岩崎彌之助の岩崎です。もうひとつは、1日目に歩いた丸の内にある静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)。彌之助が息子の小彌太と父子二代で築いたコレクションが母体で、国宝の茶碗「曜変天目」を所蔵しているのだとか。三菱商事の株主には、この美術館の招待券が届くこともあるそうです(こちらも非公式ですので、届いたらラッキーの気持ちで)。……はい、どちらも岩崎家。この散歩、まだ続きがありそうです。
最後に、今回訪れた施設の実用情報を簡単な表にまとめておきます。お出かけの参考にどうぞ。
| 施設 | 入館料(一般) | 休館・休園日 | 最寄り駅 |
|---|---|---|---|
| 東洋文庫ミュージアム | 1,000円 | 毎週火曜(祝日は開館し翌平日休館)、年末年始、展示替え期間 | 駒込駅 徒歩8分/千石駅 徒歩7分 |
| 六義園 | 300円 | 12月29日〜1月1日 | 駒込駅 徒歩7分/千石駅 徒歩10分 |
| 旧古河庭園 | 150円 | 12月29日〜1月1日 | 上中里駅 徒歩7分/西ヶ原駅 徒歩7分/駒込駅 徒歩12分 |
六義園と旧古河庭園を両方まわるなら、共通入園券「園結びチケット」(一般400円)もあります。私たちもこのセット券を見かけました。別々に買うより少しお得です。
料金や休館日は変更される可能性がありますので、お出かけ前に各施設の最新情報をご確認くださいね。
泊まりがけでお出かけされる方向けに、宿探しの入り口も置いておきますね。
さて、休日はここまで。月曜からは、またいつもの安全靴に戻ります。
以上、ご安全に!!

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