SQDCってなに?工場で使われている横文字を解説します!【なぜ安全が最初?】

工場生活

工場の教育で使われる横文字に「SQDC」という言葉があります。

横文字を略しているので、余計にややこしいですよね?

この記事を最初に書いたのは2020年なのですが、実は私、そのあと転職をしました。前の会社ではグループ会社の応援も含めていくつもの工場を経験しましたし、今は別の会社でものづくりに関わっています。

そして会社が変わっても、SQDCの考え方はどの現場にもしっかり根付いていました。

「これはやっぱり、ものづくりの基本なんだな」と実感したので、2026年版としてパワーアップしてまとめ直したいと思います!

今回はSQDCの簡単な説明と、私の大先輩とSQDCについて語ったお話、そして現場での実際の使われ方まで紹介していきます!

SQDCとは

SQDCは、「Safety、Quality、Delivery、Cost」の略で、「安全、品質、納期、原価」の意味です。

ものづくりをする上で、どれもとても重要ですよね?

S:安全(Safety)

安全は常に意識されているかと思いますし、嫌というほど指導もされていることかと思います。

私たちの健康が第一という理解でいいと思いますし、ひとつ付け加えるなら「安全な製品を作る」(品質とも被ってしまいますが)というのも大事かと思います!

ちなみに、安全は「ケガをしない」だけの話ではありません。

2025年6月には職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されて、働く人の「健康」を守る流れはどんどん強くなっています。このあたりは別の記事で詳しくまとめています!

WBGTってなに?2025年6月から職場の熱中症対策が義務化されました!【工場の現場目線で解説】
工場生活で出てきた単語 熱中症予防で使われるWBGTという指数について、自分なりに調べてみました。

Q:品質(Quality)

品質は、お客様に約束したスペックを満たすものを間違いなく提供することだと思います。

良いものを作り続けるからこそ、次の注文をいただけるわけですね!

D:納期(Delivery)

納期はそのままですね!お客様に約束した納期にちゃんと収めることです。

納期を遅らせてしまうと、お客様にご迷惑をおかけするだけではなく、会社としての信用も失ってしまうかもしれません。

C:原価(Cost)

原価は現場で作業している人は意識しづらいのですが、人件費、材料費、その他の経費(設備の減価償却費、光熱費等)などです。

利益を生むためには、この原価を下げることが大事になってきます。

ここまでザっと書いてきましたが、ものづくりは「安全で、良いものを、早く、安く作る」ということになります!

なぜS(安全)が一番最初なのか?

ここからが、この記事で一番伝えたいところです!

みなさんは、SQDCの「順番」について考えたことはありますか?

私はこの順番の意味を、大先輩のOさんに教えてもらいました。Oさんは管理職を経験されており、当時であと数年で定年退職という大先輩です。

大先輩Oさんとのお話

Oさん「SQDCってしってるか?」

私「この前教育で習いました!」

Oさん「おー知ってんのか!何の略だって言ってた?」

私「安全、品質、納期、原価ですよね?」

Oさん「お?珍しいね!教育ちゃんと聞いてる奴いるんだな!笑 じゃあさ、順番について考えたことあるか?」

私「全くないです!」

Oさん「オレは物事や言葉の順番には理由があると思っていて、これ、英語の略だけど言いやすさとかだけでこの順番になったわけじゃないと思うんだよ。オレはもう答えが出てるから、時間やるから考えてみな!」

私「考えてみます!」

数分後。。。

Oさん「わかったか?」

私「全くわかりません!笑 災害とか起きると、納期は遅れそうですけど・・・」

Oさん「考え方は悪くない!将来役に立つかもしれないから、しっかり聞いとけよ!」

「人」の健康がQDCすべてを支えている

Oさんのお話の内容はこうでした。

Q(品質)D(納期)C(原価)は要素そのもので、「良いものを、早く、安く作る」ということ。

じゃあ、S(安全)はどうかと考えると、災害が起きれば改善や対策を行うことになり、D(納期)は守りづらくなる。もちろん、会社としての信用も失うことになりかねない。

C(原価)に関しても、対策のための人件費や材料費が想定外にかかることになる。

ここまでは私も話の流れで想像できたのですが、Q(品質)とS(安全)の繋がりだけが、いまいち分かりませんでした。

それを見抜いていたのか、Oさんはこの話を最後に持ってきました。

Oさん「もこちゃんさ、今までどんな機械でどんな部品作ってきた?」

私「〇〇と、△△って機械で◆◆とか■■を・・・・・」

Oさん「それは不具合なく、工数や次工程への納期を守ってちゃんと作れたんだろ?」

私「はい!それは多分大丈夫です!」

Oさん「そこだよ!」

私「はい???」

Oさん「いままで正しい製品を納期を守って作ってくれていた人が、災害でも病気でも居なくなることが一番きついんじゃないかな?もちろん、時間をかければ他の人でも品質を守ることは出来なくはないと思うけど、そもそも人が余っているわけでもない。結局それは、納期遅れや原価を上げてしまうことにも繋がるんだよ。つまり!みんなが健康で元気に仕事をしていてくれることでQDC全てが成り立ってるから、S(安全)が一番大事って事!」

私「なるほど!めちゃくちゃすんなり入ってきました!」

Oさん「あくまでオレの考えだけど、しっかり覚えておけよ!!」

Oさんは鼻歌を歌いながら喫煙所へ向かっていきました!笑

Aさんが居なくなったら、を想像してみる

Aさんが病気や災害で居なくなると、普段その製品を担当していないBさんが来ます。

Aさんのように手際よく作業はできませんし、品質を守ろうとすると更に遅くなります。もしかすると、製品への理解が足りず不適合がでるかもしれません。

それだけではなく、Bさんがもともと担当していた製品はストップしますので、他の製品の納期にまで影響が出ます。

品質、納期、原価、すべてに影響が出てしまいますね(汗

災害は「いきなり」起きるわけじゃない

そしてもうひとつ、S(安全)が最初に来る理由を付け加えるなら、「災害は予防できるから」だと私は思っています。

1件の重大災害の裏には29件の軽い災害があり、さらにその裏には300件のヒヤリハットがある。有名な「ハインリッヒの法則」です。

ヒヤリハットの段階で危険の芽を摘んでおけば、Oさんの言う「人が居なくなる事態」になる前に手が打てます。

だからこそ安全は、何かが起きてからやるのではなく、「一番最初に」やる仕事なんですよね!

ハインリッヒの法則については、こちらの記事で詳しく解説しています!

【ハインリッヒの法則】労働災害に関する法則です!(他業界でも活用できます)
1:29:300でお馴染み?のハインリッヒの法則について私なりにまとめています。 300の危険の芽を摘み取って、重大災害を減らしましょう!!

前の職場では、ヒヤリハット報告は1人あたり最低月1件(年間12件)でした。実際にヒヤッとした話だけでなく、「こうなりそうで怖い」という想定ヒヤリハットや、通勤中のヒヤリまで、なんでも提出OKな文化です。

報告のハードルを下げて件数を集めるからこそ、危険の芽がたくさん見えるんですよね!

現場でSQDCはどう使われている?

SQDCは教育で習うだけの言葉ではなくて、現場の日常管理にも使われています。

SQDC管理ボード

SQDCの4項目を毎日チェックする「SQDC管理ボード」を置いている工場もあります。

今日の安全・品質・納期・原価の状況をボードに書き込んで、問題なければ緑、問題があれば赤、のように色で見える化するやり方です。

赤になった項目はその日のうちに「なぜ?」を考えて手を打つので、問題が小さいうちに潰せるわけです!

朝礼や掲示板も立派なSQDC管理

「うちにはそんなボード無いよ!」という方も、朝礼で昨日の品質トラブルや今日の安全のポイントを共有したり、無災害日数のカレンダーや品質掲示板が貼ってあったりしませんか?

あれも立派なSQDCの「見える化」だと思います!

前の職場では、定期的な安全教育やOJTのデモ、周知徹底が仕組みとしてしっかり回っていて、全国安全週間の時期はとくに取り組みが活発でした。安全巡視も2種類くらいあった気がします。

今の職場にはそこまでの仕組みはないので、自分で安全教育用のアプリを作って、後輩に直接伝えるようにしています(この話はいつか別の記事で詳しく書きたいと思っています!)。

SQDCに文字が増える現場もある?うちは「SLQDC」です!

ちなみに、会社によってはSQDCに文字を足した指標を使っているところもあります。

実は、転職した今の職場では「SLQDC」が使われています!

SとQの間に入った「L」はLaw、つまり法令やルールの遵守(コンプライアンス)のことです。「安全が一番、その次に法律やルールを守ること。品質・納期・原価はそのあと!」という優先順位ですね。

SLQDCは建機メーカーのコマツさんが使い始めたことで知られている言葉だそうで、安全の次に「ルールを守る」が来るあたり、今の時代に合った考え方だなと思います!

他にも、

  • M(Morale:モラール=働く人の士気)を足した「SQDCM」
  • さらに生産性(Productivity)や環境(Environment)まで含めた「PQCDSME」という呼び方もあります

アルファベットの数や並びは、正直なところ会社ごとにけっこうバラバラです笑 「うちの会社版があるんだな」くらいに受け止めておけば大丈夫だと思います!

そして何文字に増えても、S(安全)が必ず入っている(しかも、だいたい先頭にいる)のは変わらないというのが面白いところです!

転職して分かった「SQDCはどこでも通用する」

冒頭にも書きましたが、私はこの記事を最初に書いたあとに転職をしました。

前の職場と今の職場、設備も環境も、使っている言葉も違います(前はSQDC、今はSLQDC)。

それでも「安全が一番最初」という考え方だけは、どちらの現場にも共通していました

正直に言うと、前の職場の安全意識は圧倒的でした。離れてみて初めて、あれがどれだけ恵まれた環境だったのかが分かりました。

だからこそ今度は、前職で学んだ「安全が一番最初」を、私が今の職場で伝えていく番だと思っています。

SQDCは、会社が変わっても持っていける「ものづくりの共通言語」です。若いうちに順番の意味まで覚えておくと、どこへ行っても役に立ちますよ!

まとめ

  • SQDCは「Safety、Quality、Delivery、Cost」の略で、「安全、品質、納期、原価」の意味
  • S(安全)には、「安全に物を作る」と「安全な物を作る」の両側面がある
  • S(安全)が一番最初なのは、「人」の健康がQDCすべてを支える基盤だから
  • 災害はヒヤリハットの段階で芽を摘んで予防する(→ハインリッヒの法則)
  • SQDCボードや朝礼など、現場の日常管理でも使われている

SQDCはものづくりの基本であり、改善活動の目的にもなると思いますので、迷ったときは原点に戻ってシンプルに考えてみるのも良いかと思います!

みなさんも「安全で、良いものを、早く、安く、安全に」作りましょう!!

以上!ご安全に!

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