後輩や他部署の人に、ひとこと言っておきたいことがある。でも、それをチャットや連絡ノート、掲示物みたいに「文字」で残そうとすると、急に指が止まる ── そんな経験はありませんか。声で伝えるなら、その場の空気や表情でやわらげられるところも、文字にすると強さだけがそのまま残ってしまう気がして、書いては消してを繰り返してしまうんです。私も、まさにその一人です。
きつく聞こえないか。冷たいやつだと思われないか。かといって、当たり障りなく書きすぎて、肝心なことが伝わらなかったら意味がありません。特に安全にかかわる注意は、ぼかしすぎるわけにもいかない。このジレンマ、正直しんどいですよね。
そこで最近、私が試しているのが、注意文を書いたあとに一度AIに「言い方だけ」整えてもらうという、小さな工夫です。中身を考えるのは自分。AIには相棒として、言い回しだけ手伝ってもらう ── そんな感じです。
この記事でわかること
- 注意・指摘の文章を、AIに「角が立たない言い方」に整えてもらうコピペ1本のプロンプト
- 架空の例文で見る、ビフォー→アフターの変化
- 使うときに気をつけたい5つのポイント
文字にすると、なぜ余計にきつく聞こえてしまうのか
声で伝えるときは、トーンや表情、間の取り方で「責めてるわけじゃないよ」という空気も一緒に届きます。ところが文字だけになると、そういう緩衝材が全部なくなって、書いた言葉の強さだけがダイレクトに伝わってしまう ── 私はそう感じています。
これは、アサーション(相手の気持ちも自分の気持ちも、どちらも大事にしながら伝える話し方)という考え方に近いようです。厚生労働省の「こころの耳」というサイトにも、そうした伝え方についての説明がありました。専門的に掘り下げるというより、「ああ、そういう名前がついてるんだ」というくらいの気持ちで受け止めてもらえればと思います。
使うプロンプトはこの1本です
私が実際に使っているのは、こんなプロンプトです。注意文を書いたら、そのままコピーして、AIに投げるだけです。
次の注意文を、伝える内容や必要な強さは変えずに、言い方だけ整えてください。 【状況】 ・伝える相手:(例:同じ現場の後輩、他部署の担当者など) ・関係性:(例:年下だが入社は先、初めて注意する相手など) ・伝える方法:(例:チャット、連絡ノート、掲示物など) 【条件】 ・相手の人格や能力ではなく、事実と行動に焦点を当てる ・何が問題で、次にどうしてほしいかをはっきりさせる ・元の文章にない事実・理由・ルールを勝手に付け足さない ・安全に関わる注意は、「必ず〜してください」のような言い切りを弱めない ・きつくなりすぎず、かといって曖昧にもしすぎない ・3〜5文程度でまとめる ・整えた文章だけを出力する(前置きや説明は不要) 【元の注意文】 (ここに、自分が書いた注意文をそのまま貼り付けてください)
【状況】と【条件】を埋めておくと、AIも見当違いの言い回しを返しにくくなります。あとは【元の注意文】に、自分が最初に書いた「きつめの一文」をそのまま貼るだけです。
架空の例文で見る、ビフォー→アフター
以下はどちらも、私が説明のために作った架空の例文です。実際のやり取りではありません。
例1:工具の置きっぱなし
直す前:「また工具出しっぱなしになってるよ。何回言われたら片付けるの。ちゃんとしてよ。」
AIに整えてもらった後:「工具が置きっぱなしになっていました。使い終わったら、その都度元の場所に戻しておいてもらえると助かります。」
例2:安全帯の未着用
直す前:「安全帯つけてないでしょ。何回言わせるの。危ないのわかってる?」
AIに整えてもらった後:「さっき、安全帯をつけずに作業しているのが見えました。高い場所での作業は、万一のときに大きな怪我につながります。次からは、必ず着けてから上がってもらえますか。」
なお、安全帯のような命に関わる場面は、まずその場で声をかけて止めるのが大前提です。この例文は、後からあらためて文字で念押しするときのものです。そして例2のように安全にかかわる注意は、やわらかくしても「次からは必ず」のような言い切りは残す ── ここは丸めすぎないように、私は気をつけています。(ちなみに安全帯は、今の法令では「墜落制止用器具」が正式な呼び名です。現場では安全帯で通じます。)

使うときに気をつけたいこと
- AIが出した文章を、そのまま送らない。元の事実や指示の強さが変わっていないかを確かめて、最後は自分の言葉に直してから送ります。
- やわらかくしようとするあまり、褒め言葉で薄めすぎて、肝心の要点が消えてしまわないように気をつけます。
- 実名や社外秘の内容は入れません。「Aさん」「B部署」「あるライン」のように伏字にするだけでなく、内容そのものから会社や案件が推測されないかも確認します。
- 文字より、直接顔を見て伝えたほうがいい場面もあります。急ぎのとき、繊細な内容のときは、これに頼りすぎないようにしています。
- 勤務先でAIツールの利用にルールが決まっている場合は、そちらに従います。

おまけ:メールの添削も、同じ相棒にお願いできます
ここまで注意文の話をしてきましたが、実は多くの方が一度は試したことがあるAI活用は、メールの添削ではないでしょうか。「もう少し丁寧に」「失礼のない言い回しに」── そんな場面でAIに整えてもらった経験がある方も、多いと思います。
実は、ここまで紹介してきたのと同じ型が、メールにもそのまま効きます。「誰に」「どんな関係性で」「何のために送るのか」を添えて相談するだけで、精度がぐっと上がるんです。プロンプトはこの1行で十分です。
このメールを、内容や事実は変えず、失礼のない丁寧な文面に整えてください。他部署の先輩に、資料の提出遅れをお詫びしつつ再依頼する内容です。
AIが整えてくれた文面が「なんだか自分っぽくないな」と感じたときは、書き味の見本を渡してみるのも一つの手です。「この書き味に寄せてください」とお願いすると、ぐっと自分らしい文面に近づきます。ただし、実際の業務メールをそのまま貼るのは避けて、公開しても問題ない文面や、内容を自分で一般化した例文にしてから。実名だけでなく、前後の文脈から社内の情報が推測できないかも確認してからが安心です。
他部署への依頼や報告など、現場でメールを書く場面は地味に多いものです。注意文だけでなく、こうした日常のやり取りにも同じ相棒を頼ってみると、少し肩の力が抜けるかもしれません。
まとめ
- 言いにくい注意文は、書いたあとに一度AIへ「言い方だけ」整えてもらう手があります
- 中身を考え、最後の言葉を選ぶのは自分。AIには相棒として言い回しを手伝ってもらうだけです
- 実名・社外秘は入れない。安全にかかわる注意はぼかしすぎない。 ── これだけは崩さないようにしています
ここで一つだけ、はっきりさせておきたいことがあります。これは、言葉選びをAIにすべて任せてしまう話ではありません。整えてもらった言い回しを何度も見ているうちに、「ああ、こう言えばよかったのか」という感覚が、自分の中に少しずつたまっていくんです。
最初は相棒に手伝ってもらいながらで構いません。そうして学びながら、いつか自分自身の「伝えるスキル」にしていきませんか。
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以上、ご安全に!!




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