前に「プログラミング未経験の工場勤務が、ClaudeというAIと安全教育アプリを作った話」を書きました。仕事のために作ったアプリの話です。
今回はその番外編です。少し肩の力を抜いて、暮らしの中でAIと一緒に作ったものの話を、ゆるっと書いていこうと思います。
仕事でアプリが作れたなら、家のことでも同じことができるんじゃないか。そう思って作ったのが、夫婦で行った場所や行きたい場所を、地図に記録していくアプリです。
なぜ作ろうと思ったか
作り始めたきっかけについては、ここに書きます。きっかけは、大きく二つあります。ひとつは、夫婦で「日本全国、いろんなところに行きたいね」と話していたこと。もうひとつは、旅行の思い出だけを続けて眺められる場所がほしかったことです。旅の写真を見返していると、思い出話に花が咲くんですよね。特に妻は、写真を眺めるのが好きなようです。
ただ、最初に決めたことは覚えています。ふたりで行った場所を、地図に残そう。それだけです。
データの持ち方にも、地味ですがこだわりがあります。「どっちが登録したか」を区別しない作りにしました。夫婦のどちらが記録しても、同じひとつの地図に積み上がっていく。旅行の記録に、記録係も見る係もありません。
どんなことができるアプリか
できることを、ざっくり三つにまとめると次のようになります。
- 地図に記録する――日本地図の都道府県を、行ったことがあればタップで塗りつぶせます。全部塗るとちょっとしたゲーム感覚です。行った場所は、住所や地図検索から地図上にピンを立てて記録します。グルメ・温泉・神社仏閣・観光・宿泊など、ジャンルを分けて残せます。行った場所だけでなく、行きたい場所も登録できるので、「次はどこに行こう」と夫婦で話すきっかけになっています。
- 写真をひとまとめにする――スポットごとに写真を何枚も残せて、あとから「アルバム」としてまとめて振り返れます。結婚記念日のような記念日を登録しておくと、「次の記念日まであと何日」もホーム画面に出てきます。妻はこのアルバムを眺めるのが好きで、休みの日にふと開いていることがあります。
- 実績で、ちょっと盛り上がる――行った都道府県の数や写真の枚数などに応じて、段位式のメダルが増えていく仕組みも入れました。ポケモンGOのような、集める楽しさのおまけです。メダルが一段上がった日は、ふたりでちょっと嬉しい気分になるんですよね!

データはすべてバックアップとして書き出せるようにしてあります。自分たちの記録なので、いつでも手元に取り出せる形にしておきたかったからです。
見せていい範囲・見せたくない範囲を分けられる仕組みも入れています。人に画面を見せるときに、プライベートな写真だけ表示しないようにする切り替えです。誤操作で表に出てしまわないよう、戻すときは確認が入るようにもしてあります。
AIとどうやって作ったか
作り方そのものは、前回・前々回の記事と同じです。やりたいことを、日本語でAIにお願いする。それだけです。
今回は仕事のアプリと違って、法令のような「間違えたら人が困る」情報はほぼ扱いません。その分、気楽に「こんな機能あったら楽しいな」を言葉にして、試しながら進められました。番外編らしく、肩の力が抜けたやりとりだったと思います。
途中、地味に印象に残っている出来事があります。一緒に作業していたAIの名前が、開発の途中で「Claude Opus 4.8」から「Claude Fable 5」に変わりました。記録を見返すとコミット履歴にそのまま残っていて、AIの進化のスピードを自分のアプリの履歴で実感する、というちょっと不思議な体験でした。
もちろん、すんなりとは行きません。実際につまずいた場面を、正直に二つ書いておきます。
一つ目は、「エラーが出ているのに何も表示されない」不具合です。ホーム画面に追加してアプリのように使えるようにした状態(PWA)だと、普通のブラウザでは出るはずの警告メッセージが表示されないことがあると分かりました。エラーは起きているのに、画面には何も出ない。いわば静かな故障です。AIと一緒に原因を探り、独自の通知の仕組みに置き換えて直しました。
二つ目は、本番環境だけで起きる不具合です。検索した言葉に含まれる記号が、自分のパソコンで試しているときは問題なくても、実際に公開した環境だけスペースに変換されてしまい、特定の検索がヒットしなくなっていました。手元では再現しないのに、公開すると起きる。これも「あるある」として記録に残っていました。
大きな夜間集中作業になった時期もありました。コミットの記録を見返すと、夜9時から日付が変わる頃までの時間帯にまとまっているのが分かります。少しずつ、でも確実に形になっていきました。
費用と期間の話
集中して作っていたのは、2026年5月末から6月半ばまでのおよそ2週間半でした。仕組みは前回の安全教育アプリと同じ、いつも使っている構成をそのまま家庭用に流用しています。
費用については、前回と同じく個人で使える無料枠が手厚いサービスを組み合わせているので、個人利用の規模ならゼロ円に収まる可能性が高い仕組みです。今回も、いつもどおり無料の範囲内に収まっています。
「あったらいいな」から始めればいい
前回・前々回の記事でも書きましたが、私はプログラミング未経験です。それは仕事のアプリでも、今回の暮らしのアプリでも変わりません。
特別なスキルがなくても、「あったらいいな」を日本語にしてAIに話すところから始められます。完璧な設計図なんて、私も持っていませんでした。地図に色を塗りたい、写真をまとめたい、記念日を数えたい。そういう小さな「欲しい」を、思いついた順に言葉にしていっただけです。
ひとつだけ、気をつけていること
暮らしのアプリだからこそ、扱う情報にはより気を使います。家族の写真や個人的な記録は、AIに渡しすぎないようにする。これは自分に言い聞かせているルールです。
実際、アプリの中で使っている一部の画像は「ライセンス品・私的利用限定」だったため、公開するリポジトリには一切含めず、自分の手元だけでビルドして使う形にしました。何でもかんでもAIに投げて公開してしまう前に、一度立ち止まって確認する。地味ですが、これも大事な作業だと思っています。
ちなみにこのアプリ、今もふたりで現役で使っています。週末にどこかへ出かけた日は、帰ってきた夜にスマホを開いて、その日の分を打ち込むのが私の係です。都道府県の色がひとつ増えていたり、記念日までの日数が少しずつ減っていたり、地図を開くたびに小さな発見があるんですよね!昔の記録は、妻がたくさん入れてくれました。特別な機能ではないんですが、こうして積み重なった記録が、気づけばふたりの旅の履歴になっていました。番外編らしい、なんでもない日常の話ですが、これが今も続いているのが、気に入っています。
まとめ
- 仕事でアプリが作れたなら、暮らしの中でも同じやり方で作れる
- 特別なスキルがなくても、「あったらいいな」を日本語にすれば形になる
- ただし、家族の情報や権利のある画像は、渡す前に一度立ち止まって確認する
あわせてどうぞ。
以上、ご安全に!!



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